2021年1月27日、❝AGCがクラウド基盤構築の次に推進した「データ活用」の取り組み❞と題し、AGC株式会社様をゲストに迎え、テラスカイのグループ会社である株式会社BeeXと共催でウェビナーを実施しました。
本記事では、当日にお寄せいただいた質問の答えをご紹介します。
AGC様の取り組みについて
本ウェビナーで紹介したAGC様のDXの取り組みについては、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディア「Enterprise Zine(エンタープライズジン)」の記事に内容がまとまっています。セミナーをご覧になった方は内容のおさらいに、セミナーをお見逃しの方は内容の把握に、ぜひご覧ください。
質疑応答
<質問1>
現在所属されている組織は情報システム部門とは別の組織でしょうか?
また、データレイク構築のきっかけはトップダウンでしょうか、ボトムアップでしょうか?
弊社ではデータ活用が全社目標として掲げられており、感度の高い現場から要望は出てくるものの、保守的な思考が強い情報システム部門がDXをリードしており、データレイクのような新しい思想が受け入れられず、個別最適な中途半端な環境になっており、ボトムアップでのアプローチに限界を感じております。うまくマネジメント層にアプローチする方法はありますか?
<回答:AGC様より>
▼DXにおける社内の体制について
所属部署は情報システム部になります。
弊社では、デジタル技術を活用してお客様に新しい価値を提供することを目指しており、データ活用を推進する「DX推進部」という専門部署がつくられてデータ活用が推し進められるという側面では、トップダウン型といえるのかもしれません。
一方で、データレイクの展開・活用促進は、現場の改善に対する強い意志が重要ですので、ボトムアップ型のアプローチで進む取り組みも多数あります。
当方も経験が乏しい中で恐縮ですが、一担当者として心がけている点としては、データ活用やデジタル化の取り組みの中では、マネジメント層に訴えられるような効果を数字で示すことや、セキュリティなどの懸念点を払拭し、いかに全社で横展開していくかに気を付けています。
▼内製・外部委託について
内製か外部委託かですが、外部に委託する際は効率的な作業をお願いするのが大原則ではあります。こうしたDX領域の取り組みにおいては、アジャイル的なアプローチをとるなど、弊社側の知見が不足する部分も多く、外部委託のパートナーという関係よりは一歩踏み込んで、チーム一丸となって取り組んでいただいており、そうした体制での支援をしていただけるBeeX様に助けられています。
<質問2>
AGC様のクラウドジャーニーの全体規模感を出来れば人数・期間等、定量的に教えていただきたい。
AGC様のDX推進の社内組織体制(DX推進体制と現業部門の役割など、うまく機能した・しない、機能させる為の工夫したポイント)を知りたい。
Chronosやそれを使ったVEINのアーキテクチャや実装について、BeeX社様とAGC様の役割分担等を知りたい。
<回答:AGC様より>
人数や金額規模はお伝えできませんが、期間は5年間をかけて140以上の基幹システムを移行しました。体制・役割分担については<質問1>の回答に記載しております。
<質問3>
▼データ活用の前提として、定義のグローバル共通化、工場間・部門間共通化などの共通化が重要です。例えば、御社では2014年頃の基幹系グローバル展開前までにデータ定義の標準化を終えていたのでしょうか。工場間、部門間など、どのように対応されたのでしょうか。
▼データスチュワードの重要性はとてもよく理解しています。ユーザー部門さえ知らないことまで熟知していなければならず、ときには業務側を指導するなども必要と思います。大変な役割であるにも関わらず、その活動は地味です。担当者のモチベーション、評価、交代など、課題が多いと思いますが、どのような対策が打たれているのでしょうか。
<回答:AGC様より>
▼データ活用前にデータ自体の標準化が必要である件について
データ活用において、データ自体の共通言語化が重要であるというご認識、その通りだと感じます。基幹システムのクラウド移行に際し、地道な共通化には取り組んでおりますが、完全には共通化が果たせないこともあります。そうした場合は、ETLも活用しています。
▼データスチュワードの役割について
日本の製造業におけるデータスチュワードは、言葉のイメージほど一人で何もかも理解する役割ではなく、現場と一緒になって課題を解決していく存在だと理解しています。現場から信頼されることで、担当者のモチベーションも向上します。 その育成や評価については、データスチュワードに限らず、DXを牽引する人材をいかに育成するかは難しい課題ですが、セミナーでもご紹介したような研修制度、資格取得補助などの取り組みを行っております。
<質問4>
具体的にどういった使い方をしているのでしょうか。
また、社内で既に各部署内でデータ分析などをしている場合、それらもこの枠組みに取り込んでいったのでしょか。
<回答:AGC様より>
工場でのデータ見える化などに活用しています。既存のデータ分析の取り組みを、巻き込んでいくこともあります。BeeX様の事例記事を参照ください。
https://www.beex-inc.com/results/agc-data-lake/
<質問5>
基幹システムをクラウドに移行する過程で、会社内や組織内でどのような障害があり、どう解決してクラウド移行を完遂したのかを聞きたい。データレイクの構築において、異なるシステムから類似したデータが収集される場合にどのように整合性を担保できるようにしたかなど、データの加工、保存おける工夫や事例を聞いてみたい。
<回答:AGC様より>
クラウド移行の取り組みにつきましては、BeeX様の事例記事を参照ください。
https://www.beex-inc.com/results/agc/
<質問6>
大企業は情報システムが組織として存在しているが、中小企業等で組織も無く人材も無いところでDXに取り組んだ事例や進め方を教えてほしい。
<回答:BeeXより>
ご質問ありがとうございます。
手間を軽減してくれる各種データレイク製品、サービスは現時点ですと高額なものが多いため、適切な人材がいない企業におけるDXの推進は現実的には困難を伴うものではないかと考えます。社内で興味のある有志を募り、AWSのプロフェッショナルサービスなどに支援を申し入れ、一緒にPoCを取り組んでくれるIoTベンダなどを探すところから始めるのがよいかと思います。
センサー系であればデバイスから可視化まで一気に提供するサービスが増えてきております(SORACOM Lagoon,Cloudrail.Box等)ので、まずは興味のある社員がデバイスを買って、ダメ元で試してみるとよいかもしれません。
またデータ分析は100人未満の会社のほうが統制を取りやすく進めやすいとも言われておりますので、可視化は低額から使えるAWSのQuickSight、ETL処理はGUIで操作可能なAWSのDataBrewなどを用い、小さな事例をまずは1つ作り、見える化した結果を社内に共有していくと賛同者が増えアイデアが広がるというケースが、中小企業における成功事例に多い印象です。
<質問7>
整数、実数等の数値データの精度(有効数字等)要求が使っていると増えたり厳しくなったりします。あらかじめデータの標準化をしても避ける事の出来ないことですがこれに対する有効かつ簡易な対応策がありますか?
<回答:BeeXより>
ご質問ありがとうございます。
私どものデータレイクにおける解決策としてはデータ型の標準化を行うのではなく、データ定義方法を標準化した形になります。まず最終的なデータストアのデータ型にあわせ、都度ユーザーに型を定義してもらいました。データパイプラインの途中のコンポーネントではデータ型を全て文字列型で通し、ETL処理の中で正しいデータ型を最終的なデータストアに投入する形にしました。データレイクにおいてはデータストア自体を適材適所で切り替えて使い、それでもデータ型の要求を満たせるデータストアがない場合は、分析時にデータを丸める、あるいはデータレイク層での分析から除外するというような方針で運用しております。
<質問8>
AWS軸でのデータレイク開発と、Azure軸でのデータレイク開発を比較した場合の有利不利ポイントはありますか?
<回答:BeeXより>
ご質問ありがとうございます。
データレイクの基本機能はAWSもAzureもどちらも備えておりますので、対応できるエンジニアが多いほうのクラウドを選ぶのをおすすめします。基本機能以外では、データカタログ機能については、現時点ではAzureのほうが使いやすいです。BIツールに関しては、AWSのQuickSightよりもPowerBIに慣れているユーザーが多いため、シームレスにPowerBIを使えるAzureが一般ユーザーに好印象を与えることがあります。また、認証周りもAzure ADでデータへのアクセス制御ができるAzureのほうが取り組みやすいです。その他、各コンピューティングリソースやデータストアはAWSのほうが事例も多く取り組みやすい印象です。
たくさんの質問をお寄せいただきありがとうございました。共催のBeeX社について、DXに関する情報については下記リンクもご覧ください。
現在所属されている組織は情報システム部門とは別の組織でしょうか?
また、データレイク構築のきっかけはトップダウンでしょうか、ボトムアップでしょうか?
弊社ではデータ活用が全社目標として掲げられており、感度の高い現場から要望は出てくるものの、保守的な思考が強い情報システム部門がDXをリードしており、データレイクのような新しい思想が受け入れられず、個別最適な中途半端な環境になっており、ボトムアップでのアプローチに限界を感じております。うまくマネジメント層にアプローチする方法はありますか?
<回答:AGC様より>
▼DXにおける社内の体制について
所属部署は情報システム部になります。
弊社では、デジタル技術を活用してお客様に新しい価値を提供することを目指しており、データ活用を推進する「DX推進部」という専門部署がつくられてデータ活用が推し進められるという側面では、トップダウン型といえるのかもしれません。
一方で、データレイクの展開・活用促進は、現場の改善に対する強い意志が重要ですので、ボトムアップ型のアプローチで進む取り組みも多数あります。
当方も経験が乏しい中で恐縮ですが、一担当者として心がけている点としては、データ活用やデジタル化の取り組みの中では、マネジメント層に訴えられるような効果を数字で示すことや、セキュリティなどの懸念点を払拭し、いかに全社で横展開していくかに気を付けています。
▼内製・外部委託について
内製か外部委託かですが、外部に委託する際は効率的な作業をお願いするのが大原則ではあります。こうしたDX領域の取り組みにおいては、アジャイル的なアプローチをとるなど、弊社側の知見が不足する部分も多く、外部委託のパートナーという関係よりは一歩踏み込んで、チーム一丸となって取り組んでいただいており、そうした体制での支援をしていただけるBeeX様に助けられています。
<質問2>
AGC様のクラウドジャーニーの全体規模感を出来れば人数・期間等、定量的に教えていただきたい。
AGC様のDX推進の社内組織体制(DX推進体制と現業部門の役割など、うまく機能した・しない、機能させる為の工夫したポイント)を知りたい。
Chronosやそれを使ったVEINのアーキテクチャや実装について、BeeX社様とAGC様の役割分担等を知りたい。
<回答:AGC様より>
人数や金額規模はお伝えできませんが、期間は5年間をかけて140以上の基幹システムを移行しました。体制・役割分担については<質問1>の回答に記載しております。
<質問3>
▼データ活用の前提として、定義のグローバル共通化、工場間・部門間共通化などの共通化が重要です。例えば、御社では2014年頃の基幹系グローバル展開前までにデータ定義の標準化を終えていたのでしょうか。工場間、部門間など、どのように対応されたのでしょうか。
▼データスチュワードの重要性はとてもよく理解しています。ユーザー部門さえ知らないことまで熟知していなければならず、ときには業務側を指導するなども必要と思います。大変な役割であるにも関わらず、その活動は地味です。担当者のモチベーション、評価、交代など、課題が多いと思いますが、どのような対策が打たれているのでしょうか。
<回答:AGC様より>
▼データ活用前にデータ自体の標準化が必要である件について
データ活用において、データ自体の共通言語化が重要であるというご認識、その通りだと感じます。基幹システムのクラウド移行に際し、地道な共通化には取り組んでおりますが、完全には共通化が果たせないこともあります。そうした場合は、ETLも活用しています。
▼データスチュワードの役割について
日本の製造業におけるデータスチュワードは、言葉のイメージほど一人で何もかも理解する役割ではなく、現場と一緒になって課題を解決していく存在だと理解しています。現場から信頼されることで、担当者のモチベーションも向上します。 その育成や評価については、データスチュワードに限らず、DXを牽引する人材をいかに育成するかは難しい課題ですが、セミナーでもご紹介したような研修制度、資格取得補助などの取り組みを行っております。
<質問4>
具体的にどういった使い方をしているのでしょうか。
また、社内で既に各部署内でデータ分析などをしている場合、それらもこの枠組みに取り込んでいったのでしょか。
<回答:AGC様より>
工場でのデータ見える化などに活用しています。既存のデータ分析の取り組みを、巻き込んでいくこともあります。BeeX様の事例記事を参照ください。
https://www.beex-inc.com/results/agc-data-lake/
<質問5>
基幹システムをクラウドに移行する過程で、会社内や組織内でどのような障害があり、どう解決してクラウド移行を完遂したのかを聞きたい。データレイクの構築において、異なるシステムから類似したデータが収集される場合にどのように整合性を担保できるようにしたかなど、データの加工、保存おける工夫や事例を聞いてみたい。
<回答:AGC様より>
クラウド移行の取り組みにつきましては、BeeX様の事例記事を参照ください。
https://www.beex-inc.com/results/agc/
<質問6>
大企業は情報システムが組織として存在しているが、中小企業等で組織も無く人材も無いところでDXに取り組んだ事例や進め方を教えてほしい。
<回答:BeeXより>
ご質問ありがとうございます。
手間を軽減してくれる各種データレイク製品、サービスは現時点ですと高額なものが多いため、適切な人材がいない企業におけるDXの推進は現実的には困難を伴うものではないかと考えます。社内で興味のある有志を募り、AWSのプロフェッショナルサービスなどに支援を申し入れ、一緒にPoCを取り組んでくれるIoTベンダなどを探すところから始めるのがよいかと思います。
センサー系であればデバイスから可視化まで一気に提供するサービスが増えてきております(SORACOM Lagoon,Cloudrail.Box等)ので、まずは興味のある社員がデバイスを買って、ダメ元で試してみるとよいかもしれません。
またデータ分析は100人未満の会社のほうが統制を取りやすく進めやすいとも言われておりますので、可視化は低額から使えるAWSのQuickSight、ETL処理はGUIで操作可能なAWSのDataBrewなどを用い、小さな事例をまずは1つ作り、見える化した結果を社内に共有していくと賛同者が増えアイデアが広がるというケースが、中小企業における成功事例に多い印象です。
<質問7>
整数、実数等の数値データの精度(有効数字等)要求が使っていると増えたり厳しくなったりします。あらかじめデータの標準化をしても避ける事の出来ないことですがこれに対する有効かつ簡易な対応策がありますか?
<回答:BeeXより>
ご質問ありがとうございます。
私どものデータレイクにおける解決策としてはデータ型の標準化を行うのではなく、データ定義方法を標準化した形になります。まず最終的なデータストアのデータ型にあわせ、都度ユーザーに型を定義してもらいました。データパイプラインの途中のコンポーネントではデータ型を全て文字列型で通し、ETL処理の中で正しいデータ型を最終的なデータストアに投入する形にしました。データレイクにおいてはデータストア自体を適材適所で切り替えて使い、それでもデータ型の要求を満たせるデータストアがない場合は、分析時にデータを丸める、あるいはデータレイク層での分析から除外するというような方針で運用しております。
<質問8>
AWS軸でのデータレイク開発と、Azure軸でのデータレイク開発を比較した場合の有利不利ポイントはありますか?
<回答:BeeXより>
ご質問ありがとうございます。
データレイクの基本機能はAWSもAzureもどちらも備えておりますので、対応できるエンジニアが多いほうのクラウドを選ぶのをおすすめします。基本機能以外では、データカタログ機能については、現時点ではAzureのほうが使いやすいです。BIツールに関しては、AWSのQuickSightよりもPowerBIに慣れているユーザーが多いため、シームレスにPowerBIを使えるAzureが一般ユーザーに好印象を与えることがあります。また、認証周りもAzure ADでデータへのアクセス制御ができるAzureのほうが取り組みやすいです。その他、各コンピューティングリソースやデータストアはAWSのほうが事例も多く取り組みやすい印象です。
たくさんの質問をお寄せいただきありがとうございました。共催のBeeX社について、DXに関する情報については下記リンクもご覧ください。
基幹システムのクラウド移行を支援する、株式会社BeeXについて
https://www.beex-inc.com/
AGC様、BeeXも登壇したDXイベント「TerraSkyDays2020 Online」について
・開催レポート
https://base.terrasky.co.jp/articles/zRBO7
・ホームページにてkeynote、一部セッションの動画、資料、レポートも公開中!
https://terraskydays.com/
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