2020.11.26

【イベントレポート】 Keynote Day1:DXを成し遂げる企業のプラットフォーム戦略-TerraSkyDays 2020 Online

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「DX先進企業と変革のリーダーが語る2日間」をテーマに、2020年10月20日(火)と21日(水)の2日間で開催した「TerraSkyDays 2020 Online」。2017年からスタートして5回目となる今回は、オンラインでの開催という初の試みでした。2日間で述べ6時間10分という長丁場も初めてでしたが、「2日間を通してストーリー性があり、わかりやすかった」「オンラインで手軽にさまざまな講演を聴くことができてとても便利」など、ご好評をいただきました。
初日のキーノートは、「DXを成し遂げる企業のプラットフォーム戦略」と題し、DX実践のために、どのようなプラットフォームを選択、構築すべきかを実践事例とともに紹介しました。

株式会社テラスカイ 代表取締役社長 佐藤秀哉

DXを実践するための準備「DX Ready」とは

Keynote1日目のナビゲーターは当社代表の佐藤が務めました。「DXに取り組むのはお客様ご自身。その準備をお手伝いする」のがテラスカイの基本方針です。なぜなら、DXは外から提供されるものでなく、自らの変革によって初めて成功させることができるものだからです。とはいえDXを成功させるために必要な準備があり、テラスカイはこの準備を支援することができます。このDXの準備のことを私たちは「DX Ready」と呼び、1日目のKeynoteではDX を実践するためのプラットフォームとして、「システム」面と「体制」面について解説しました。

DX Ready [システム]

システム面におけるDX Readyの手法として「SOE/SOR」「LIFT&SHIFT」「マイクロサービス」の3つを紹介しました。これは、前回のTerraSkyDayでもご紹介した内容です。このようなシステム面でのDX Readyは、すべてクラウドのプラットフォームで実現できます。どのクラウドが最適か、適材適所でのプラットフォーム選定も重要です。

そうしたなかで、テラスカイがSalesforce、AWSに次いで新たに取り扱うことになったクラウドプラットフォーム「Google Cloud Platform」について、グーグル ・クラウド・ジャパン様にゲスト登壇いただきました。

DXを支える「Google Cloud Platform」とその実例

グーグル ・クラウド・ジャパン日本代表の平手氏は、同社が提供する「Google Cloud Platform(GCP)」のなかでも、とりわけ企業のDXに貢献するサービスと、その活用事例について紹介されました。

グーグル ・クラウド・ジャパン合同会社 日本代表 平手智行氏

1つ目は、GCPや他社クラウドサービスを同時に扱えるハイブリッドクラウドやマルチクラウドを実現する「Anthos」。クレジットカードで知られるJCBが、このAnthosを次世代決済プラットフォームに採用したそうです。

JCBは金融機関として非常にセンシティブな情報を扱うことから、データをクラウドに保管できません。そのため、複数のシステムが動作するオンプレミス環境とGCPによるクラウド環境、これらすべての統合管理環境としてAnthosを活用することに決めたと言います。これにより、平手氏いわく「金融機関に求められるサービスレベルと業界特有の規制に準拠しつつ、DX基盤と基幹システムのインフラモダナイゼーションを同時に実現」したとのこと。

次に、ペタバイト規模のデータを高速に分析可能にするクラウドデータウェアハウス「BigQuery」と、高いスケーラビリティを達成するリレーショナルデータベース「Cloud Spanner」について解説しました。これらは大手コンビニエンスストアチェーンのセブン-イレブンが9月に稼働を始めた新しいデータ活用基盤「セブンセントラル」で採用され、1日あたり1億5000万件に及ぶPOSデータをクラウド上に集積し続けています。

また、注目度の高いAI(人工知能)やML(機械学習)に関わるGCPのソリューションについても、地方銀行がデジタルマーケティング基盤に活用していることを紹介しました。基幹システムからマーケティングデータなどを収集し、それらをAIで分析することにより、「(銀行の)お客様のニーズに合った商品提案やリスク細分化など、業務の高度化」につなげているとのことです。

ガラスメーカーのAGCがクラウドジャーニーを完遂できた理由

ここでナビゲーターをテラスカイのグループ企業の1つであるBeeXの代表取締役社長 広木にバトンタッチ。広木は企業のDXに向けた“旅路”、「クラウドジャーニー」において、ステップごとに考えるべきキーポイントを解説しました。

株式会社BeeX 代表取締役社長 広木太

まずクラウドジャーニーの最初の段階では、いきなりマルチクラウドにしてビジネスプロセスを一気に変革するのではなく、メインで活用するクラウドプラットフォームをどれか1つに決め、「基盤周りをLift&Shiftする」ことが大切だとしました。つまり、オンプレミスをクラウドに“リフト”し、その後、柔軟かつ迅速にシステムやデータを進化させられるよう“シフト”させるということです。

次の段階では「クラウドネイティブにどんどん寄せていく」ことになります。用途に合わせてクラウドプラットフォームを使い分けるマルチクラウド化も検討の俎上に上がってくるでしょう。そして3段階目では、1つの大きなプログラムやデータを分解するマイクロサービス化が肝になります。

AGC株式会社 グローバルITリーダー 情報システム部長 伊藤肇氏

世界的なガラスメーカーであるAGCは、まさにそんなクラウドジャーニーを経験してきた企業です。同社のグローバルITリーダー 情報システム部長の伊藤氏によれば、その“旅路”が始まったのは2014年のこと。そこから2018年までの約5年間で、基幹システムをオンプレミスからクラウドに移行しました。

クラウドへの移行にあたり、同社のサーバーコスト削減や運用の効率化に大きく貢献したのが、パートナーであるBeeXとともに構築した統合クラウドインフラ基盤「Alchemy」でした。Alchemyを用いることで、基幹システムで採用しているAWSを利用したシステム開発・移行を効率化できるようになっていると話します。

またAlchemyとは別に、基幹系以外のサービス開発向けに「Chronos」という「DXに活かせる第2のクラウド化サービス」も用意し、「攻めのITに使うプラットフォーム」として活用。さらに「第3のクラウド化サービス」の「VEIN」も構築し、Chronos上で稼働するデータレイク基盤として、「攻めのIT」を推進するにあたり課題となった「データの蓄積と活用」の実現を図っています。

伊藤氏は最後にDXをサッカーに例えました。「企業がビジネスで利益を伸ばすのは、得点するのと同じこと。IT部門はディフェンダーで、得点するにはディフェンダーがいい環境を作り、いいパスをフォワードに出さなければいけません。失点しないようにセキュリティを守り通し、ときには我々自身も得点を取りに行くことも必要です」と述べ、基幹システムをクラウド化し、本業をバックアップすることの重要性を訴えました。

ホームセンターの「煩わしさ」に着目し、「体制面」を変革してDXを加速

DX Ready [体制]

続いて「DX Ready」の2つ目、「体制」についてです。
ナビゲーターの佐藤より、DXを推進するための「組織」、品質を維持しビジネススピードに合わせた素早い開発を実現するための「ガイドライン」の整備、そして内製化によって機動力を高めるための人材「育成」といった3つの観点を解説しました。これらは、テラスカイがCoE(Center of Excellence)として推進しているものです。

ここで、「システム」面と「体制」面の準備を整え DXに取り組むゲストをお呼びしました。

株式会社カインズ デジタル戦略本部 本部長 池照直樹氏

最後のゲストは関東を中心に全国へホームセンターを展開するカインズで、デジタル戦略本部 本部長を務める池照氏。同氏が入社したのは2019年のことですが、それからわずか1年半の間に「体制面」を大きく変革し、カインズのデジタル化およびDXを一気に推し進めた仕掛け人でもあります。

日本全国に200店舗以上、計2万人以上の従業員を抱える大企業だけに、「小さく仕掛けても大きな会社はびくともしない」。しかし「逆にチャレンジは大きくとれる」ことから「大きく仕掛けて、大きく効果を出していく」ことを意識してきたという同氏。社内で議論を重ね、「煩わしさの解消からemotionalな体験の創造」をテーマにDXを進めてきました。

郊外に立地し、大型店舗の多いホームセンター。取扱商品は10万点以上にもおよび、店舗利用時の「煩わしさ」は他の業種の店舗より多いと同氏は見ています。遠くから時間をかけて来店したものの、広大な店舗を探し回らなければならず、欲しいものがすぐに見つけられない。購入するにもレジで行列に並ばなければならず、場合によっては品切れでムダ足になる、という声も少なくありません。

そんな煩わしさを解消し、来店時の体験価値を向上させるために取り組んだのが、スマートフォン向け「カインズアプリ」の機能拡充でした。従来、商品名などで検索すると在庫の有無や売り場などが即座にわかる「Find in CAINZ」機能を店舗スタッフ向けに提供していましたが、これを一般ユーザー用のスマートフォンアプリ「カインズアプリ」にも実装しました。
加えて、商品の取り置きの手続きを簡便にする「CAINZ PickUp」というサービスも提供を開始し、この10月には店外駐車場のロッカーで商品を受け取れる「Drive PickUp」もスタートしています。オウンドメディアを立ち上げてホームセンターならではの情報を発信したり、店内にサイネージを実験的に導入するなど多様な取り組みを続け、着実に成果につなげてきました。

「この1年間、ある程度の成果が出せたのは、しっかりとした“地図”を作ったから」と話す同氏。大がかりなプロジェクトにするのではなく、「小さな成功でいいから最初のうちに作り上げていく。こう進めればうまくいく、地図に載っているここに向かっているんだよ、と示す」ことで、早い段階で会社や2万人の社員を安心させたことがDXをスムーズに進めることができた理由だと語りました。

成果を出すには「全社を巻き込んでいく必要もある」ことから、同社では従業員2万人全員が当事者として意識するようなアプリ関連のキャンペーンも仕掛けたとのこと。さらに新サービスを矢継ぎ早にリリースするにあたっては、「内製開発チームも必須だった」と振り返ります。

2020年4月にはIT関連部門の統合も行うなどしてスピーディに動ける体制を整えました。「今まではフロントエンドだけを考えていました。これからは会社のバックエンド、基幹系のシステムも含めて大きな仕掛け作りをしていきたい」と意気込みを見せました。

DX Ready の4つのテーマ

以上、1日目のKeynoteは「システム」「体制」という基盤部分となるDX Readyについてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?

2日目のKeynoteでは「UX/CX」「共創」という観点で引き続きDX Readyを解説していきます。
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