2025.09.24

話題の「Marketing Cloud Next」をわかりやすくまとめてみた

こんにちは!
この記事では、今年6月に開催された「Salesforce Connections(CNX)2025」にて情報が公開された「Marketing Cloud Next」について、現時点で公開されている情報をもとにわかりやすくまとめていきます。

(※CNX2025で公開した記事については以下をご参照ください)
https://base.terrasky.co.jp/articles/8ik79

Marketing Cloud Nextとは?

「Marketing Cloud Next」とは、簡単に言うと、Salesforce上に構築された新世代のマーケティング基盤です。自律型のAIエージェントにより、双方向の対話やキャンペーン構築&パーソナライズを自動で実行し、マーケティング活動を支援します。
これにより、マーケターは戦略の策定やクリエイティブな取り組みに時間を割けるようになります。なお、「Marketing Cloud Next」は、あくまでコンセプトの名称であり「Marketing Cloud Next」という名前の製品ではありません。

このコンセプトに該当する新しい製品として「Marketing Cloud Growth & Advanced Editions」が紹介されています。

Marketing Cloud Next

Marketing Cloud Growth & Advanced Editionsとは?

Data Cloudが標準搭載されたSalesforce上で稼働する新しいMAツールとなります。

Account Engagementの機能を踏襲しつつ、Agentforceによるキャンペーン、セグメント、メールの自動生成機能を活用して、作業を効率化できることが特徴です。
Salesforceをベースに設計されているという点で「Marketing Cloud on Core(略:MC on Core)」とも呼ばれていますが、最近は公式の製品名であるGrowth & Advanced Editionsへと統一されつつあるように感じます。

つまり、Salesforceが本気で「これからのMAの標準形」を提示してきた、と言えるのではないでしょうか。

そして「Edition」という表記から想像できるように、「Growth」「Advanced」の2つのエディションが存在しています。

Salesforceの公式サイトには、以下のページにライセンスの情報が記載されています。
(※2025/9/24現在)

https://www.salesforce.com/marketing/marketing-cloud-editions/
Growth Edition、Advanced Editionのほか、Starter Suite、Pro Suiteといったライセンスも確認できますが、こちらはSales Cloud、Service Cloudの主要機能と簡易的なメールマーケティングが可能な低価格のライセンスとなります。CRMに必要な機能が揃っているので、すぐに始められるのが特徴です。

ちなみに、Growth Edition、Advanced EditionはどちらもSales、もしくはService CloudのEnterprise Edition以上の契約が必須になります。

Growth Editionでできること

メールマーケティング、フォーム、ランディングページ作成、リードスコアリング、フローなど、Account Engagementの機能を踏襲しつつ、AIを使った配信時間の最適化、Data Cloudに構築されたオブジェクトの差し込み項目、SMS配信ができる点が大きな特徴となります。

「Web行動をもとにした判断分岐」をフローで構築できる

ただし、Account Engagementにあって、Growth Editionにない機能も一部存在します。(後述します)

Advanced Editionでできること

Growth Editionに含まれるすべての機能に加え、以下の機能差分があります。

・キャンペーンパスのテスト(パス実験)
・AIを活用したエンゲージメント頻度調整
・AIを活用したエンゲージメントスコアリング
・SMS双方向対話機能

Advanced Editionは、より顧客との接点を持つのに適したエディションといえるでしょう。

※機能差分は以下の公式ページで確認可能です。
https://www.salesforce.com/marketing/marketing-cloud-editions/pricing/

Account Engagement(旧:Pardot)は今後どうなる?

※ここからは筆者の私見も入ります。

上記の通り、Growth & Advanced Editionsは、Account Engagementの機能を踏襲しつつも、Data Cloud、Agentforceによる追加機能が特徴的な製品となり、これからもパワーアップが期待できる製品です。

しかし現時点ではプログレッシブプロファイリング(※1)、フォームハンドラー(※2)といったAccount Engagementにあった機能がまだ搭載されていません。

これらの機能を活用している方にとっては、Account Engagementの使用を継続していく選択肢もありますが、今後「Salesforceプラットフォーム上のマーケティング統合製品」として育っていき、機能が充実していくことを考慮すると、長期的にはGrowth & Advanced Editionsへの統合を視野に入れておいたほうが良いかもしれません。

(※1)
同じリードが複数回フォームに入力する際に、以前に入力した項目を省略して表示することで、ユーザーの負担を減らしつつ段階的に詳細情報を取得できる機能。

(※2)
外部で作成したフォームの送信データをAccount Engagementに取り込むことができる機能。

Marketing Cloud Engagement(旧:Marketing Cloud)は今後どうなる?

Marketing Cloud Engagementは、メールやSMSだけでなく、アプリのプッシュ通知やLINE通知にも対応しているため、BtoC向けMAツールとして幅広く活用されています。

一方で、Growth & Advanced Editionsは現時点でメールとSMSによる配信に限定されており、アプリプッシュ通知やLINE通知への対応はまだ発表されていません。
そのため、現状ではMarketing Cloud Engagementを使い続ける選択肢も十分に考えられます。

ただしCNX2025では、Marketing Cloud Nextによって"BtoBとBtoCの境界をなくす"方針が示されています。
今後数年かけて、Marketing Cloud Engagementにあった各種機能がGrowth & Advanced Editionsに統合される未来が訪れる可能性もありそうです。

まとめ

Marketing Cloudについて、SalesforceはすべてのデータをData Cloudで統合し、Agentforceを組み込んだマーケティング製品へと進化させる方向に動いています。

その中で、Growth & Advanced Editionsはこのビジョンを具体化する重要な一歩。今後のマーケティングテクノロジーの方向性を示す存在になると考えられるでしょう。

勿論、テラスカイでは、この「Marketing Cloud Growth & Advanced Editions」に関する導入/運用支援を行えるよう技術検証を進めております。是非お気軽にご相談ください!

https://www.terrasky.co.jp/marketing_automation/
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