2022.09.22

Dreamforce2022 Day1:技術系セッションレポート(MuleSoft/Apex/SFS)

はじめに

こんちには!クラウドインテグレーション本部のY.Hです。

コロナが落ち着き、ようやく現地参加することができたDreamforce。
2年待った甲斐があり、サンフランシスコの街並みや、Dreamforce会場の熱気を存分に満喫しております。

今年もSalesforce+でオンライン配信がされており、Keynoteはそちらを視聴されている方も多いと思いますので、配信されていなさそうなセッションを中心に、初日の3つのセッションについて報告します。

① Architect's Guide to Low Code with MuleSoft Composer

まずは、個人的に注目している、進化が止まらないMuleSoftのセッションです。
MuleSoft が Salesforce に加わった直後は、Anypoint Studio や Flow Designer での開発という手段しかなく、学習コストが高くて開発者(特に連携に強い方)にしか手が出せないツールというのが個人的な印象でした。

しかし昨年発表された MuleSoft Composer を使えば、ノーコードで連携開発が実装でき、敷居の高かった MuleSoft が一気に Salesforceユーザにとって身近な存在となった印象です。

また、Salesforce・Slack・Tableau をはじめ、各種サービスに接続する際に必要となるコネクタも23種類と豊富に提供されています。

これに加えて今年は MuleSoft RPA という新たなRPA系の製品が発表され、 MuleSoft オートメーション系の製品が一気に充実することになりました。

事前に開発した API Catalog および RPA Catalog も Composer のコネクタとして利用することができる様なので、IT部門と事業部門が協力したAPIの作成・管理および利用促進が進みやすいと考えられます。

CRMとこれらの強力な連携機能に分析系の機能を掛け合わせることで、Salesforce はモダン・エンタープライズ向けに、業界をリードする end-to-end の自動化サービスを提供するベストなポジションに位置することになった、と謳われています。

デモでは、保険会社における顧客からの請求の際に、これらのMuleSoft製品が連携して、SAPへのデータ連携と帳票作成を伴うメール返送が自動で実行される様子が紹介されていました。

これらを MuleSoft を使わずに実行しようとすると、さまざまなツールを駆使した手間のかかる手動作業が発生することになりますので、MuleSoft を効果的に活用することで、単純作業に関わる労働時間の大幅な削減が見込めます。

ちなみに MuleSoft 開発者向けに Anypoint Code Builder という新しい IDE の提供も発表されており、Day2 以降のセッションで詳細を聞くのが今から楽しみです!

② Make Security Review a Breeze Salesforce Code Analyzer

Apex 開発者向けのセッションでは、Salesforceの開発において、どういった手法やツールを駆使するのがベターかをレクチャーしてくれるものが幾つかあります。

こちらのセッションでは、Salesforce Code Analyzer v3系を使用したコード解析の手法が紹介されました。

Salesforce Code Analyzer プラグインは、ESLint、PMD、RetireJS などの複数のコード分析エンジンを、Salesforce CLI プラグインに統合して簡単にインストールできるようにしたものです。

こちらのツールを用いることで、命名ルールの一貫性のなさからセキュリティの脆弱性まで、コードの潜在的な問題を特定して、これらを分かりやすい結果で開発者に伝えてくれます。

起動させる際は、CLIでのコマンド実行となりますが、こちらを CI/CD フレームワークに統合して全てのコード変更に対して実行する様にもできます。

Apex 開発者向けの類似セッションとしては、デバッグ系やテスト系などもあり、こちらもそれぞれ参加してきました。

デバッグ系では以前より提供されているけれども、あまり使いこなせていない Apex Relay Debugger を活用して、効率的なデバッグを行いましょうといった内容でした。

テスト系ではテスト駆動開発(TDD)をはじめとした、スピーディーなテストを実施するための3つのポイントが紹介されていました。

これらの開発手法については、Apex開発者ならすでにご存知のものも多いと思いますが、複数の選択肢の中で何がベターなのかと言われると、改めて答えづらいということもあるかと思います。

Salesforce のエンジニアからリアルの場で開発手法についてレクチャーを受ける機会はまずないので、これを機に推奨される手法を日々の開発で定着させて行きたいと思います。

③ Building LWC for Salesforce Field Service Mobile

今年は Salesforce Field Service(以下SFS) に特化したセッションはあまりなさそうですが、個人的に深く関わっているサービスなので、SFS関連のセッションを探し出して参加してきました。

SFS は独自のモバイルアプリが Salesforce から提供されておりますが、現状の標準画面やノーコードで実装できる FieldServiceMobile フローだけでは、実装としてやや物足りなさを感じることもあります。
まさにその様な個人的に感じていた悩みに対して、LWC開発を行った事例が紹介されており、興味深く聴講してきました。

デモでは画像をアップするLWC画面が紹介され、SFSモバイルアプリから簡単に現場の写真をアップしていました。

標準機能ではChatterを使って画像のアップロードを行う必要があるので、こちらのサンプルはシンプルではあるけれども頻出パターンであると考えられ、多くのプロジェクトで活用されそうだと感じました。

サンプルコード:https://github.com/pbergner/df22

複雑に作りこんだLWC画面も最後に紹介されましたが、モバイル開発では画面サイズやオフライン制御に伴う同期タイミングの考慮が必要ということが説明されていたので、そういった複雑な画面開発を行うには、やはりノウハウの蓄積が必要になりそうです。

おわりに

事前にあまり新しいサービスの情報が出回っていなかったので、当初は今回のDreamforceでは驚きは少ないのかなと思っていましたが、結果的には Salesforce Genie のサプライズから始まる熱い Dreamforce になりました。

ハイブリッド形式でオンライン配信もあるので、現地のセッションのチョイスはオンライン未配信のものを優先して回るなど、いろいろ見たいと思っている参加者にとっては工夫が求められます。

Salesforce Eventというアプリで参加したいセッションをブックマークすれば計画が組めますが、空いている時間帯に実施しているセッションを検索できる機能もあるので、ツールを駆使しながら有意義な3日間にしていきたいと思います。

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