2024.03.08

Trailblazer DX 2024 Keynote 観覧記

Trailblazer DX 開幕!

待ちに待ったTrailblazerDX、Salesforce開発者の祭典がついにスタートです。

さっそくSalesforceの魑魅魍魎(ちみもうりょう)たちがお出迎え。

食堂に盛られた山盛りフルーツの中からリンゴを1つ手に取り、颯爽と講演の会場に向かいます。

今回主役ですとばかりに登場したEinstein博士。 こころなしか頭もより一層つんつんしてますね。

Keynote ~Every Developer Is an Einstein~

"Keynote"は各Salesforceイベントの一番重要な発表です。

毎回Salesforceの大物が登場して、Salesforceのビジョンや目玉機能を説明します。

フル動画がSalesforce+で配信されているので、ここでは要点をピックアップしてご紹介します。

◇Einstein1 PlatformによるCustomer360の実現

セールス、カスタマーサービス、マーケティング、コマースなど、顧客のデータを様々な方面から集め統合、分析することで、より良いタイミングで高い価値を届けられるようになります。

これを実現するのが、Salesforceの新しいプラットフォーム、Einstein1 プラットフォームです。

Salesforce CTOのハリス氏は、新しいプラットフォームでビジネスに革新をもたらすためには、次の3ステップが必要であると述べています。

1. 信頼性のあるデータを集めること

2. Einstein Copilot(生成AI機能)をカスタマイズすること

3. カスタマイズしたAIを、使えるすべての場所に埋め込むこと

◇信頼性のあるデータの収集

Data Cloudは、さまざまなシステムからデータのみならずメタデータも統合することができます。
これにより、Snowflakeから抽出したデータを使ってフローを起動するなど、さまざまな業務の自動化が実現できます。
Salesforce Connectなど、ゼロETLの仕組みを活かして多くの信頼できるデータ・メタデータをSalesforceに集積することが、生成AI活用のための第一歩となります。

Salesforceプラットフォームに統合されたデータを使って、生成AIに指示を与えたり、生成AIのモデルを構築することが可能です。ユーザーを手助けする生成AIの機能がEinstein Copilotであり、プラットフォームのいたるところで、ユーザーに顧客のインサイトを与えます。
例)
「今アプローチするべき顧客を教えて」と指示
→ Copilotが購買データ、行動データ、IoTデータ等さまざまなデータを確認
→「 今アプローチするべきはこの人です」と、取引先責任者を提示

◇Einstein Copilotのカスタマイズ

Copilotのカスタマイズ用に提供される主要な機能が、下の画像の3つです。
※Copilot Builderは本記事記載時点ではBetaアクセス

1. Prompt Builder: プロンプトのテンプレートを作る機能。Salesforceの項目値やフローで生成したデータを埋め込める

2. Copilot Builder: フローやApexを使って、自分のCopilotに独自のアクションを仕込む

3. Model Builder: 独自の生成AIモデルを簡単に造ったり、既存の生成AIモデルを自社のデータで拡張できる

◇CopilotのUIへの埋め込み

CopilotはLightningアプリケーションビルダーで、画面のどこにでも埋め込むことができます。

埋め込み方については、

・Lightning Web コンポーネントを作成する方法
・画面フローを作成しする方法

の二通りが紹介されていましたが、開発の容易性を鑑みてフローが推奨されていました。

フローの開発については、今後生成AIを使ってますます簡便化されていくことも発表されているため、要チェックです。

画像上部が生成AIのコンポーネント
こうして、

1. 信頼できるデータを収集し、

2. Copilot機能をカスタマイズし、

3. それをUI上に配置する

ことで、ユーザーが顧客のデータから素早く、さまざまな情報を引き出せるようになります。

まとめ

生成AIを使って業務を自動化自動化する。夢がありますが、実際の導入は想像より遥かに難しいことが見えてきました。

・そもそも生成AIによってどの業務を効率化できるのか?

・生成AIの学習元となるデータをどうやって統合するのか?

・データは信頼がおけるのか?

・生成AIのモデルは何を使うのか?

・生成AIの活用によるリスクをコントロールできるのか?

実際に導入するためには障壁が山積みです。

これらを乗り越えるためには、導入する企業、そしてそれを支援する企業の双方が、生成AIに対して深く理解して、協力する必要があるはずです。

そして、それらを乗り越えたとき、ビジネスは間違いなく新たなステージに進むことになるでしょう。

そんな仕事に関われたらエンジニア冥利に尽きるなと、そんな風に感じる、サンフランシスコの春でした。

参考資料

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