2022.03.07

メール-to-ケースとWeb-to-ケースを使ってみよう

はじめに

こんにちは。エンジニアの安斎です。

今回はSalesforceのメール-to-ケースとWeb-to-ケースについてご説明します。
コールセンター業務では主に電話による問い合わせ対応を行っているイメージがありますが、顧客からの問い合わせを全て電話で受け取っていては人件費もかかりますし、顧客からすれば簡単な問い合わせでも電話の待ち時間が発生してしまうなど効率も良くありません。

そこでHP上にお問い合わせフォームを設置したり、お問い合わせ用のメールアドレスを掲載してメールでお問い合わせを受けたり…といった対応を行っている企業様も多く存在しますが、そういった問い合わせ時に自動でケースを作成するための便利な機能がメール-to-ケースとWeb-to-ケースです。

メール-to-ケース

ではまず、メール-to-ケースの有効化から始めていきます。


メール-to-ケースの有効化、オンデマンドサービスの有効化にチェックを付けます。


オンデマンドサービスの有効化についてですが、チェックした場合としていない場合で以下のような違いがあります。


オンデマンドケースを使用しない場合の設定方法は以下の記事もご覧ください。

なお、その他の設定についてはSalesforceのHelpを参考に要件に合った機能を有効化してください。

これでメール-to-ケースが有効化されました。
次に、ケースを作成するためにどのメールアドレスに送信するかの設定を行います。

メール-to-ケースを有効化すると下部にルーティングアドレスの設定が表示されるので、「Email2Case」を選択し新規ボタンをクリックします。

ここで設定したルーティングアドレスに問い合わせメールを送ると、Salesforceで自動でケースが作成されます。

メールヘッダーの保存は任意ですが、メールヘッダーを保存する事で差出人項目を正常に表示できるようになるなどの効果があるため、チェック推奨です。
また、ケース設定を行う事でメール-to-ケースで作成されたケースに設定した値が登録されるため、デフォルトの所有者の設定や、後からWeb-to-ケースを有効化した場合に作成起因の判別がしやすくなります。


ルーティングアドレスの設定を行うと「メールサービスアドレス」というSalesforce宛の長いアドレスが生成されます。
メール-to-ケースでケースを作成する際は先ほど登録した元のメールアドレスではなく、こちらの長いアドレスにメールを送信する必要があります。

ですが、この長いアドレスを顧客に公開したくはないですよね。
元のメールアドレス宛で送信したメールからケースを作成するためには、メーラー側で転送設定を行います。


以下はGmailで転送設定した場合の例となります。
まず、Gmailで転送先アドレスに先程の長いメールサービスアドレスを追加します。


登録するとメールサービスアドレスに確認コードが送信されますが、ここまでの設定に問題が無ければSalesforceにケースとして作成されています。


確認コードを入力し転送先アドレスを登録したら「フィルタとブロック中のアドレス」タブから「新しいフィルタを作成」リンクをクリックします。

「To」項目にはルーティングアドレスに登録した元の短いアドレスを登録し、「フィルタを作成」をクリックします。


次に、「次のアドレスに転送する」で、転送先として登録したメールサービスアドレスを選択します。


これで転送先の設定は完了です。
では、実際にメールを送信してみましょう。


無事ケースが作成されました。
メール-to-ケースの基本的な設定は以上となります。

Web-to-ケース

続いてWeb-to-ケースの有効化についてご説明します。

Web-to-ケースはお問い合わせフォームを作成し、そこから入力されたお問い合わせを元に自動でケースを作成する機能です。

まず、Web-to-ケースを有効化します。


デフォルトのケース発生源は「Web」が登録されているためこのままで問題ありませんが、他に登録したい値がある場合は任意の値に変更してください。
また、登録時に「お問い合わせを受け付けました」などのレスポンスを自動で顧客に返信したい場合は、自動レスポンスルールを設定する必要がありますが、設定したルールに一致しない場合に送信するデフォルトのレスポンステンプレートはここで設定します。

Web-to-ケースを有効化した後は、お問い合わせ内容を入力するためのWebフォームを作成する必要がありますが、SalesforceではWebフォームの雛型を簡単に作成することができます。

クイック検索でHTMLジェネレータを検索します。

使用する項目にはWebフォーム上で表示したい項目を設定します。
「セルフサービスポータルに公開」は、Webフォームで送信後に表示したいサイトや画面が存在する場合にURLを設定します。

「HTML にreCAPTCHA を含める」では、Webフォーム上にGoogleのreCAPTCHAを追加する事が可能です。
※[私はロボットではありません] をチェックしないと先に進めない、あのシステムです。
追加する際は以下のHELP記事を参考にしてください。

作成ボタンをクリックするとHTMLのコードが出力されるため、コードをコピーしテキスト等に貼り付け、拡張子を「.html」に変更します。


自動生成されたコードについて少しご説明します。
<form action="https://***/servlet/servlet.WebToCase?encoding=UTF-8" method="POST">
<input type=hidden name="orgid" value="00D999999999999">
送信先の指定
上記はデータを送信するURLと組織のIDを指定しています。
上記のいずれかを変更してしまうとデータを送信できなくなってしまうため、注意が必要です。
Sandboxから本番環境に送信先を変更する場合は、上記を本番環境のURLと組織IDに変更する事で連携先を切り替える事が出来ます。

<!--  ----------------------------------------------------------------------  -->
<!--  注意: これらの項目は、省略可能なデバッグ用要素です。デバッグモードでテストを行う場合は、これらの行をコメント解除してください。        -->
<!--  <input type="hidden" name="debug" value=1>                              -->
<!--  <input type="hidden" name="debugEmail" value="*@gmail.com">   -->
<!--  ----------------------------------------------------------------------  -->
デバッグモード
上記はデバッグモードで実施するかどうかをコメントアウトの有無で切り替える事が可能です。
デバッグモードで実行すると値の送信時に値毎の送信結果が画面上に表示され、ケースの作成結果が「debugEmail」のアドレスにメール通知されます。

<label for="email">メール</label><input  id="email" maxlength="80" name="email" size="20" type="text" /><br>

カスタム項目A:<input  id="00N5h0000000000" maxlength="255" name="00N5h0000000000" size="20" type="text" /><br>
表示項目
上記は「メール」がケースの標準項目、「カスタム項目A」が名前の通り作成したカスタム項目なのですが、何かお気付きになるでしょうか?
「カスタム項目A」のidとname項目がSalesforceのIDになっています。
このままだと環境が変わった際やjavascriptで指定する必要が発生した際などで非常に扱いづらいですが、この値は項目のAPI参照名に変更しても登録が可能です。
例:id="00N5h0000000000" → id="customA__c"


保存したHTMLファイルを開くと以下のように表示されます。
レイアウトを修正する場合はCSSなど追加し、適宜変更してください。


では登録できるか確認してみましょう。
値を入力して送信ボタンをクリックします。


Web-to-ケースの有効化の際に「セルフサービスポータルに公開」に設定したテラスカイのHPが表示されました。


ケースも正常に作成されています。
Web-to-ケースの基本的な設定は以上となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか
今回はメール-to-ケースとWeb-to-ケースの基本的な設定についてご説明しました。

Service Cloudには他にも顧客管理を行う上で便利な機能が沢山あります。
ここから割り当てルールの作成やナレッジの追加などをしていくとどんどん便利になっていきますので、是非皆さんもいろいろ試してみてください!
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