2021.01.14
Salesforce Financial Services Cloudのカスタマイズでココにつまずいた!4選
はじめに
こんにちは、エンジニアの扇です。
今回のブログでは金融サービス機関向けパッケージである「Finaicial Services Cloud(以下FSC)」を導入するにあたり、カスタマイズ時に遭遇するココでつまずいた!を紹介していきます。
実際に私がFSCを導入した際に経験した内容もありますので、これから導入される皆さんの参考になれば幸いです。
なお、FSCについてよく知らない、という方はFSCでどんな事が出来るかについて書かれている下記ブログを参考いただければと思います。
今回のブログでは金融サービス機関向けパッケージである「Finaicial Services Cloud(以下FSC)」を導入するにあたり、カスタマイズ時に遭遇するココでつまずいた!を紹介していきます。
実際に私がFSCを導入した際に経験した内容もありますので、これから導入される皆さんの参考になれば幸いです。
なお、FSCについてよく知らない、という方はFSCでどんな事が出来るかについて書かれている下記ブログを参考いただければと思います。
Salesforce Financial Services Cloudの機能紹介 - TerraSkyBase | テラスカイを支える人とテクノロジーの情報を発信する基地局
本記事では、SalesforceのFinancial Services Cloud(FSC)についてご紹介します。(FSCとは/FSCの資産積み上げ機能/FSCの行動日管理機能)
ココにつまずいた!その1 ~権限セットの割り当て漏れ~
それではさっそく1つ目です。
FSCのレコード画面をカスタマイズしてみたものの、いろんなコンポーネントがエラーとなっており、内容が正しく表示されないことがあります。
FSCのレコード画面をカスタマイズしてみたものの、いろんなコンポーネントがエラーとなっており、内容が正しく表示されないことがあります。
そんな時はユーザへの権限セットの割り当てが適切にされているか確認してみてください。
FSCはパッケージツールですので、FSCで独自に用意されている機能を使用するには権限セットの割り当てが必要になります。
基本的には下記の3つが割り当てられていれば問題ないので、確認してみましょう。
FSCはパッケージツールですので、FSCで独自に用意されている機能を使用するには権限セットの割り当てが必要になります。
基本的には下記の3つが割り当てられていれば問題ないので、確認してみましょう。
上記のコンポーネントの他にも、FSCには独自のオブジェクトが用意されていますが、これらにアクセスするためにも権限セットが必要なことがあります。
下記ヘルプでまとめられているので、もしかしたら?と思ったらこちらを確認してみてください。
下記ヘルプでまとめられているので、もしかしたら?と思ったらこちらを確認してみてください。
Financial Services Cloud 権限セットライセンス
権限セットライセンスは、ユーザライセンスに含まれていない機能へのアクセス権をユーザに部分的に付与します。ユーザには、権限セットライセンスをいくつでも割り当てることができます。Financial Services Cloud では、多数の権限セットライセンスが使用可能です。
ココにつまずいた!その2 ~FSCのコンポーネントを画面に追加したのに表示されない~
その1で、コンポーネントが正しく表示されなかったので、権限セットをユーザに割り当てましょう、という内容を紹介しました。
その2もコンポーネントに関するつまずきですが、内容が異なります。
その2では権限セットは割り当て済み、Lightningページでも画面に追加しているのに、なぜか表示されない、という内容を紹介します。
下の画像をご覧ください。
その2もコンポーネントに関するつまずきですが、内容が異なります。
その2では権限セットは割り当て済み、Lightningページでも画面に追加しているのに、なぜか表示されない、という内容を紹介します。
下の画像をご覧ください。
状況としては、取引先のレコード詳細ページに「FSCで用意されている『Financial Account List』コンポーネント(画面左赤枠)を、画面右横の赤枠箇所に配置したい」というものです。
要するに、画面上に、顧客に関連する金融口座一覧(※)を表示させたいということです。
※「金融口座」はFSCのオブジェクトで、顧客の保有する口座情報を保持するオブジェクトです。
しかし、見ていただくと、右の赤枠部分が空白になっているのがお分かりかと思います。
実は既にコンポーネントを配置しているのですが、中身が一向に表示されません。
表示されない原因は、コンポーネントに対してまだ設定が不足しているためです。
見てみると、画面一番右のコンポーネントの設定欄のいくつかの項目がブランクになったままとなっています。
コンポーネントを表示させるためには「項目セット」を割り当てる必要があります。
項目セットとは、その名の通りいくつかの項目をまとめておくことができる箱のようなものです。(Visualforceの開発などに使われることがあります)
ここでは詳細は割愛させていただきますので、下記リンクをご参照ください。
要するに、画面上に、顧客に関連する金融口座一覧(※)を表示させたいということです。
※「金融口座」はFSCのオブジェクトで、顧客の保有する口座情報を保持するオブジェクトです。
しかし、見ていただくと、右の赤枠部分が空白になっているのがお分かりかと思います。
実は既にコンポーネントを配置しているのですが、中身が一向に表示されません。
表示されない原因は、コンポーネントに対してまだ設定が不足しているためです。
見てみると、画面一番右のコンポーネントの設定欄のいくつかの項目がブランクになったままとなっています。
コンポーネントを表示させるためには「項目セット」を割り当てる必要があります。
項目セットとは、その名の通りいくつかの項目をまとめておくことができる箱のようなものです。(Visualforceの開発などに使われることがあります)
ここでは詳細は割愛させていただきますので、下記リンクをご参照ください。
Help | Training | Salesforce
項目セットは項目のグループです。たとえば、ユーザの名、ミドルネーム、姓、および役職を記述する各項目を含む項目セットを持つことができます。Visualforce ページに項目セットを追加すると、開発者はその項目をまとめて表示できます。
関連するオブジェクトの項目セットを設定する必要があるので、金融口座オブジェクトの項目セットを開きます。
表示される項目セットはいずれもFSCパッケージ内に用意されているものです。
今回は「Banking Account」のAPI参照名をコピーします。
そして先程のLightningページ編集画面のコンポーネント設定欄である「Field Set for Financial Account」部分に貼り付けます。
すると、顧客に関連する金融口座一覧コンポーネントが目的の場所に表示されました。
このように、FSCで用意されているコンポーネントには項目セットの設定がされていないと表示されないものがあります。
裏を返せば、自分で表示させたい項目を含めた項目セットを作成してしまえば、コンポーネントの表示項目を好きなようにカスタマイズできてしまう、というわけです。
今回は説明を割愛しましたが、表示されるレコードタイプを制限させたり、コンポーネント左上のアイコンを変更したりすることもできます。
これらの変更がプログラミング要らずでできてしまう、ということを考えるととても便利ですよね。
このように、FSCで用意されているコンポーネントには項目セットの設定がされていないと表示されないものがあります。
裏を返せば、自分で表示させたい項目を含めた項目セットを作成してしまえば、コンポーネントの表示項目を好きなようにカスタマイズできてしまう、というわけです。
今回は説明を割愛しましたが、表示されるレコードタイプを制限させたり、コンポーネント左上のアイコンを変更したりすることもできます。
これらの変更がプログラミング要らずでできてしまう、ということを考えるととても便利ですよね。
ココにつまずいた!その3 ~オブジェクト、項目のラベル変更~
Salesforceをカスタマイズするうえでは、オブジェクト名の変更、項目名の変更はよくあることですよね。
項目名を業務に合わせた内容に変えたい、ということでいつも通り項目を選択します。
ちなみに「FinServ」というプレフィックスが付いている項目がFSCで用意されている項目になりますので、今回はそのプレフィックスが付いている「カテゴリ」の項目名を「顧客カテゴリ」に変更しようと思います。
項目名を業務に合わせた内容に変えたい、ということでいつも通り項目を選択します。
ちなみに「FinServ」というプレフィックスが付いている項目がFSCで用意されている項目になりますので、今回はそのプレフィックスが付いている「カテゴリ」の項目名を「顧客カテゴリ」に変更しようと思います。
しかし項目の編集画面では「項目の表示ラベル」欄がグレーアウトされており、変更できなくなっています。
これは、FSCが管理パッケージであり、項目「カテゴリ」はパッケージ内で用意されている項目であるため、この画面からの項目名変更ができなくなっています。
そんな時はトランスレーションワークベンチの「上書き」からFSCの項目名を変更する事ができます。
これは、FSCが管理パッケージであり、項目「カテゴリ」はパッケージ内で用意されている項目であるため、この画面からの項目名変更ができなくなっています。
そんな時はトランスレーションワークベンチの「上書き」からFSCの項目名を変更する事ができます。
上書きの画面で、検索条件を下記に設定します。
・パッケージ:Financial Services Cloud
・言語:日本語
・設定コンポーネント:カスタム項目
・オブジェクト:変更したい項目があるオブジェクト(この例では取引先)
・部分:項目の表示ラベル
上記設定ができたらFSCの項目一覧が表示されますので、変更したい項目のラベル名を変更して保存したら完了です。
・パッケージ:Financial Services Cloud
・言語:日本語
・設定コンポーネント:カスタム項目
・オブジェクト:変更したい項目があるオブジェクト(この例では取引先)
・部分:項目の表示ラベル
上記設定ができたらFSCの項目一覧が表示されますので、変更したい項目のラベル名を変更して保存したら完了です。
トランスレーションワークベンチの設定後のオブジェクトマネージャで、対象の項目名が変更されていることが確認できます。
ちょっと裏技的な方法ではあるので、複数言語をサポートする環境であれば複数言語分の設定が必要となりますし、設定変更履歴や項目の更新時間にも反映されないので注意しましょう。
ちょっと裏技的な方法ではあるので、複数言語をサポートする環境であれば複数言語分の設定が必要となりますし、設定変更履歴や項目の更新時間にも反映されないので注意しましょう。
ココにつまずいた!その4 ~FSCの積み上げ集計がされない~
先にFSCの積み上げ集計とは?という方に少しでもお分かりいただけるように、FSCの積み上げ集計を簡単にご説明します。
FSCは顧客の資産管理を得意としており、家族それぞれが持つ資産を、1つの取引先レコードで自動でまとめて管理、および表示させることができる機能があります。
資産情報を個人単位だけでなく、世帯単位でもまとめて管理できますよ、ということですね。
上記を支援してくれる機能が独自に積み上げ集計として用意されています。
また、取引先にはレコードタイプに「個人」「世帯」が初めから用意されています。
下のような家族構成を例として、このようにレコード管理することができます。
・佐藤一家:世帯レコードタイプ
- 佐藤 太郎(父):個人レコードタイプ
- 佐藤 花子(母): 〃
- 佐藤 一郎(長男): 〃
父、母、長男はそれぞれが普通口座やローン用の口座を管理しているのですが、それらをまとめて世帯レコードで表示させ、世帯としての総資産、保有する口座数などを把握することができるわけです。
少し前置きが長くなりましたが、今回のお話は上記のような積み上げ集計を実現したいのに期待通りに動かない!という問題を解決をお手伝いする紹介となります。
FSCの積み上げ集計が上手く動かないときは、下記をチェックしてみましょう。
・リレーションは正しく設定されているか
・積み上げ対象のオブジェクトに積み上げたいオブジェクトは含まれているか
・ルックアップによる積み上げの設定は有効になっているか
まずは「リレーションが正しく設定されているか」を確認します。
FSCは顧客の資産管理を得意としており、家族それぞれが持つ資産を、1つの取引先レコードで自動でまとめて管理、および表示させることができる機能があります。
資産情報を個人単位だけでなく、世帯単位でもまとめて管理できますよ、ということですね。
上記を支援してくれる機能が独自に積み上げ集計として用意されています。
また、取引先にはレコードタイプに「個人」「世帯」が初めから用意されています。
下のような家族構成を例として、このようにレコード管理することができます。
・佐藤一家:世帯レコードタイプ
- 佐藤 太郎(父):個人レコードタイプ
- 佐藤 花子(母): 〃
- 佐藤 一郎(長男): 〃
父、母、長男はそれぞれが普通口座やローン用の口座を管理しているのですが、それらをまとめて世帯レコードで表示させ、世帯としての総資産、保有する口座数などを把握することができるわけです。
少し前置きが長くなりましたが、今回のお話は上記のような積み上げ集計を実現したいのに期待通りに動かない!という問題を解決をお手伝いする紹介となります。
FSCの積み上げ集計が上手く動かないときは、下記をチェックしてみましょう。
・リレーションは正しく設定されているか
・積み上げ対象のオブジェクトに積み上げたいオブジェクトは含まれているか
・ルックアップによる積み上げの設定は有効になっているか
まずは「リレーションが正しく設定されているか」を確認します。
これは佐藤 一家という世帯レコードのリレーションを設定する画面です。
この場合、画面右横の「プライマリグループ」が有効になっていない「佐藤 一郎」さんの保有する金額は「佐藤 一家」レコードには積み上がりません。
従って、その世帯に積み上げたいレコードがこの設定画面で「プライマリグループ」が有効になっているかをチェックしてください。
続いては「積み上げ対象のオブジェクトに積み上げたいオブジェクトは含まれているか」を確認します。
単にFSCの積み上げ、と言っても積み上げることができる項目は金額の他に、例えばTodoや前回接触日等もあります。
これらが個人レコードでの登録がある場合、世帯レコードに積み上げがされているかは先程のリレーション設定画面でチェックします。
この場合、画面右横の「プライマリグループ」が有効になっていない「佐藤 一郎」さんの保有する金額は「佐藤 一家」レコードには積み上がりません。
従って、その世帯に積み上げたいレコードがこの設定画面で「プライマリグループ」が有効になっているかをチェックしてください。
続いては「積み上げ対象のオブジェクトに積み上げたいオブジェクトは含まれているか」を確認します。
単にFSCの積み上げ、と言っても積み上げることができる項目は金額の他に、例えばTodoや前回接触日等もあります。
これらが個人レコードでの登録がある場合、世帯レコードに積み上げがされているかは先程のリレーション設定画面でチェックします。
赤枠の部分は佐藤 太郎さんの「積み上げる活動とオブジェクト」をクリックした際に表示された、積み上げ対象のオブジェクトリストになります。
ここではOpportunities以外のすべてのオブジェクトが積み上げ対象となっており、Opportunityオブジェクト内の項目については積み上げ対象外となっています。
このように、積み上げ元の項目が定義されているオブジェクトがリレーション設定画面で積み上げ対象外となっている場合は、個人のデータは世帯のデータに積み上げられないのでチェックしましょう。
最後に「ルックアップによる積み上げの設定は有効になっているか」を確認します。
通常の積み上げ集計では、項目を作成する際にデータ型として積み上げ集計項目を選択し、積み上げの条件は項目内で定義すると思います。
しかし、FSCにおける積み上げルールは「ルックアップによる積み上げの設定」というオブジェクトで管理されています。
ここではOpportunities以外のすべてのオブジェクトが積み上げ対象となっており、Opportunityオブジェクト内の項目については積み上げ対象外となっています。
このように、積み上げ元の項目が定義されているオブジェクトがリレーション設定画面で積み上げ対象外となっている場合は、個人のデータは世帯のデータに積み上げられないのでチェックしましょう。
最後に「ルックアップによる積み上げの設定は有効になっているか」を確認します。
通常の積み上げ集計では、項目を作成する際にデータ型として積み上げ集計項目を選択し、積み上げの条件は項目内で定義すると思います。
しかし、FSCにおける積み上げルールは「ルックアップによる積み上げの設定」というオブジェクトで管理されています。
上記リストビュー画面のように、レコード単位で
・積み上げ元の項目
・積み上げ先の項目
が定義されており、それぞれに有効を管理するフラグが用意されています。
取引先レコードをチェックしていて、積み上げがされていないことに気が付いたら、ルックアップによる積み上げの設定オブジェクト内のレコードで対象の項目に対する積み上げが有効になっているか確認しましょう。
なお、ルックアップによる積み上げ設定レコードは最初から複数用意されているので、自身で一から作成する必要はありません。
・積み上げ元の項目
・積み上げ先の項目
が定義されており、それぞれに有効を管理するフラグが用意されています。
取引先レコードをチェックしていて、積み上げがされていないことに気が付いたら、ルックアップによる積み上げの設定オブジェクト内のレコードで対象の項目に対する積み上げが有効になっているか確認しましょう。
なお、ルックアップによる積み上げ設定レコードは最初から複数用意されているので、自身で一から作成する必要はありません。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
今までは当たり前にカスタマイズしていたことが、FSCの場合はちょっとした工夫が求められる場合があるということがお分かりいただけたかと思います。
導入時やカスタマイズ時にパッケージならではの制約に遭遇することもありますが、FSCには顧客との信頼構築をサポートしてくれる強力な機能がたくさんありますので、ぜひとも頑張って設定していきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
今までは当たり前にカスタマイズしていたことが、FSCの場合はちょっとした工夫が求められる場合があるということがお分かりいただけたかと思います。
導入時やカスタマイズ時にパッケージならではの制約に遭遇することもありますが、FSCには顧客との信頼構築をサポートしてくれる強力な機能がたくさんありますので、ぜひとも頑張って設定していきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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