2023.06.02

Financial Services Cloudでお客さまの保険情報を管理してみる

はじめに

こんにちは。
今回のブログではSalesforceで金融サービスに特化したパッケージであるFinancial Services Cloud(以下FSC)に含まれている保険契約の管理機能について紹介します。

過去にFSCを取り上げたブログではお客様の口座情報や証券情報を管理する機能についてはご紹介をしていますが、今回は「保険」の内容にフォーカスしていきます。

Salesforceでお客さまの保険契約情報を管理できないか?と考えている方、あるいは最近FSCを触り始めてオブジェクトの使い方が分からないと思っている方はぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!

保険契約、保険契約関係者オブジェクトについて

前提

FSCで保険の情報を管理するためには下記のオブジェクトを使用します。
・取引先
・保険契約
・保険契約関係者
・保険契約資産
・請求
 などなど

Salesforceで管理したいデータや実装したい内容によって使用するオブジェクトは取捨選択して構いませんが、少なくともお客さまの契約情報を管理するために最低限必要な「取引先」「保険契約」「保険契約関係者」に絞って紹介します。

オブジェクト構成

今回紹介するオブジェクトを簡単に図として表現してみました。
取引先はSalesforceおなじみのオブジェクトで、ここでは契約がある保険に関係する人を登録します。
保険契約はその名の通り、お客さまとの契約内容を保持するオブジェクトで、保険種類や満期日、保険料などを登録する項目があらかじめ用意されており、取引先オブジェクトにぶら下がるリレーションとなっています。
そして保険契約が取引先を参照する場合、参照する取引先は「被保険者」として参照するように定義されています。
被保険者以外の保険に関係する人々は後述する「保険契約関係者」と「取引先」で表現します。

保険契約レコード画面(サンプル)

最後に保険契約関係者ですが、取引先と保険契約を多対多で結ぶオブジェクトとなっており、契約に誰がどんな役割で関係しているかを保持することを目的としています。

例えば保険契約Aに対して、
・被保険者:長男
・契約者:父
・保険受取人:母
となる場合、レコードとしては下記の通りになります。

このような例は学資保険が該当しそうです

ポイントは取引先レコードが登場人物分存在している点ですが、保険契約オブジェクトには「契約者」などの保険に関係する人物を保持する項目が用意されていません。
従って契約に対する各関係者の人は保険契約関係者を用いて表現されるようになっています。

この場合、父は保険契約Aの「契約者」となっていますが、別の保険契約Bが存在していて役割が「被保険者」である場合は父としての取引先レコードはそのままに保険契約レコードと保険契約関係者レコードを追加することで、取引先レコードの重複作成等を回避することが可能です(CRMにおいてお客さま情報が重複していることは避けたいですよね)。

なお、この役割は保険契約関係者オブジェクトの「ロール」という選択リスト項目で定義されているリスト値を使用しますが、もちろん業務に合わせて必要なリスト値を修正/追加することも可能です。

提供されている標準コンポーネントについて

FSCには情報を見やすくするための画面コンポーネントが多く用意されており、保険契約関連の機能についても同様です。
本ブログでは保険契約と保険契約関係者について紹介をしたので、それらに関連する「保険契約と請求」コンポーネントを紹介します。

本コンポーネントでは表示している取引先レコードに関連する保険契約の一覧と今回紹介はしていませんが、発生している請求の内容をファーストビューで確認することができます。
特に関連する保険契約、ということで先述した保険契約関係者を適切に登録することで、自身が被保険者として直接リレーションがある保険契約レコード以外にも、保険契約関係者レコードを介して表現されているリレーションも同時に表示できます。
Salesforceは多くの画面があり、関連するレコードを辿る際は多くのクリックを必要とすることがありますが、このコンポーネントを使用することでその煩わしさからは解放されそうですね!

一番上の生命保険レコードには、表示している取引先の人が被保険者、契約者、保険受取人として関係していることが分かります。

なお、本コンポーネントについても表示内容をカスタマイズすることができます。
カスタマイズできる内容については下記リンクをご参照ください。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

FSCには保険契約関係者オブジェクトの様に、多対多のオブジェクトがかなり多く登場します。
オブジェクトの目的や使用用途を理解することに苦労するかもしれませんが、これらのオブジェクトを有効活用できるとFSC活用の幅がぐっと広がります!
というかFSCを上手く活用するコツは多対多のオブジェクトを制することかもしれません(いいすぎ?)

本ブログをお読みいただいた皆様の開発、導入検討の一助になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!!
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