2020.07.13

データ連携導入で失敗しないための要件整理ポイント

みなさん、こんにちは。製品営業本部の河合です。

私は製品営業本部にて、データ連携製品の担当として業務を行っていますが、いわゆる営業マンではありません。
プリセールスエンジニアという営業の活動を技術的に支援する活動をしています。

今回の記事では、データ連携製品の商談を技術的に支援したノウハウを元に、データ連携の要件整理ポイントを紹介します。

開発を始めるまでの4ステップ

今回は要件整理のポイントを紹介する記事ですが、まずは「要件整理がなぜ重要なのか」を把握しましょう。
例として、弊社が販売代理店でもあるクラウド型EAI「DataSpider Cloud」の利用開始までの大まかな流れを紹介します。

また、各ステップにおいて、要件整理が不十分な場合に発生しうる問題を記載しています。

要件整理

今回のポイントとなるフェーズです。
詳細は後述しますが、実現したい内容や現在のシステム状態などを整理します。

導入相談

整理した内容を元に弊社へお問い合わせをいただきます。

専門の営業・技術スタッフが要件をヒアリングし、最適な構成の提案および見積を作成します。
また、導入時、お客様ネットワークや現在利用しているシステムへの設定変更などもアドバイスさせていただきます。

要件整理が不十分だと…

  • 結局、要件整理しておくべき情報の確認が必要
  • 構成の提案および見積の作成に時間がかかる
  • 予算確保の手続きが遅れ、ギリギリのスケジュールだと破綻する可能性も

契約~環境作成

導入が決定しましたら契約をします。

その後、契約内容に基づいた環境が作成されます。
VPNなどを利用する場合、お客様作業が発生することもあります。

要件整理が不十分だと…

  • お客様ネットワーク作業が実施できず、利用開始が遅れる
  • 想定外のオプションや追加作業による費用が発生する

利用開始

無事、環境が作成されたら利用開始です。

要件整理が不十分だと…

  • 想定していた内容が実現できなかった
  • 必要な機能がオプションだった
  • 連携先との通信ができなかった
こういった問題が発生すると、開発スケジュールの変更や追加予算の確保といった対応が必要になります。
最悪の場合だと、製品そのものを変更しなくてはならない可能性もあります。

要件整理は必須のステップです。
仮に後続のステップで確認不足があったとしても、すぐに確認を行い、そのまま先に進めることは絶対に避けましょう。

要件整理のポイント

ここまで DataSpider Cloud を導入するまでの流れを大まかに見てきました。
今回は、この中でも重要なフェーズである「要件整理」について詳しく見ていきます。

要件整理フェーズで整理しておく内容は、後続のフェーズで利用料金や導入スケジュールに大きく影響を与えます。
これから挙げるポイントをしっかり整理しておくことが重要です。

やりたいことの認識合わせ

「要件整理」と聞くと、難しいイメージがあるかもしれませんが、まずは「やりたいこと」を整理します。

(例)

  • 新たに導入するSalesforceに基幹システムの在庫データを連携したい
  • 手動(データローダー)で実施している商品マスタの同期を自動化したい
何のためデータ連携をするのか、といった目的をプロジェクト関係者全員で共有しておきましょう。

接続先

データを渡す連携元とデータを受け取る連携先を整理しましょう。
必要な連携が複数ある場合、連携の数だけ整理しておきます。

(例)基幹システムの在庫データをSalesforceに連携

  • 連携元:基幹システム
  • 連携先:Salesforce

ここで洗い出した内容は次項での確認に使用します。
それぞれのシステムを担当する部門やベンダーを明らかにしておくことで、確認をすばやく行うことが可能です。

接続方法

前項で洗い出した接続先への接続方法を確認します。
個別開発・EAI問わず、次のいずれかであることがほとんどです。
  • データベース:直接データベースへアクセスし、データの読み書きを行う
  • API:クラウドサービスやパッケージ製品などのAPIを利用
  • ファイル:ファイルの内容またはファイルそのものを連携する

EAI製品は様々なシステムと連携するための機能を持っています。
DataSpider Cloudではアダプタと呼んでおり、対応するアダプタがあれば連携が可能です。
必要なアダプタによって利用料金が変わることもあるので注意が必要です。

通信方法

接続先への通信方法を確認します。
接続先がローカルネットワークに配置されている場合、セキュアな通信を確保するためにVPNなどの検討が必要になります。
自社ネットワークの設定変更が必要となる場合もあり、サービス利用開始までの期間への影響が大きいため、早めに確認しておくのがおすすめです。

連携処理の負荷

「負荷」と言われてもピンとこないと思いますので、次の2点を確認します。

データ量

連携するデータの量を確認します。DBやAPIであればレコード数、ファイルであればレコード数に加えて、ファイルサイズも重要となります。

データ加工

データ連携の際にどのようなデータ加工が必要か確認します。
複雑な加工が複数必要な場合、処理の負荷が高くなります。

DataSpider Cloudでは連携処理を行う連携サーバーを契約しますが、このサーバーのスペックによって利用料金が変わってきます。
このスペックを机上で特定することは困難ですが、上記2点を整理しておくことでアタリをつけやすくなります。
※より確実な評価には評価版を使った事前検証がおすすめです。

おわりに

データ連携はさまざまなシステムやネットワークなども関連するため、事前の情報整理が重要です。

今回挙げたポイントが整理できていないまま、導入相談や見積を始めてしまうと、後から追加費用やスケジュール遅延が発生する可能性があります。

契約などの段階でバタバタすることがないよう、ぜひ事前に検討してみてください。

なお、テラスカイでは要件整理から開発・運用保守まで請負うことも可能ですので、
お気軽にご相談いただければと思います。
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