2022.11.24

特撮映画の樋口監督が沸かした、TerraSkyDay 2022 スペシャルセッションについて

リアルイベントはやっぱり良い!

TerraSkyDayを、3年ぶりにリアル開催でおこないました。
会場にお越しの皆様、ご講演者の皆様、一緒に盛り上げてくださり、本当にありがとうございました。参加者のご感想や反応を直に受け止めることができた現場で、運営側の立場としては、これまでの苦労が吹き飛びました。

前代未聞!?だったスペシャルセッション

TerraSkyDay 2022最後のセッション

当日会場に参加された方しか見ることができない、スペシャルセッションの一部を特別にご紹介します。
スペシャルセッションは、シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンの監督 樋口真嗣氏とテラスカイ代表の佐藤との異業種対談でした。


この化学反応が予測不能な展開を引き起こし、会場は笑いの絶えない35分となりました。
お笑いライブさながらに、爆笑が続くTerraSkyDayセッションは未だかつて、なかったでしょう・・・。

映画ビジネスを成功させるための、最初の苦労とは

現在公開されている映画では、、昔の映画作品・アニメ・漫画・小説などを原作にしたものや、シリーズものがほとんどです。
これには、数百億円の市場を意識すると、公開前から話題性が必要で、ファンじゃなくても「おもしろそう」と思ってくれるような、いわば”ブランド力”に依存してしまう、オトナたちの事情によるところが大きいとのこと。

セッションでは、監督が無名の原作を読んで「これは映画にしたい! 俺が映画化するぞ!」と心に決めた作品「ローレライ」と「のぼうの城」の映画化に至るまでの、画策や奮闘話をお聞きしました。 

実は、監督ご自身「ローレライ」の作家さんの第一作「亡国のイージス」を映画にしたかったそう。(「ローレライ」と「亡国のイージス」は、同じ年に公開されていました。)

樋口監督が「亡国のイージス」に着目した当時は、「自衛隊が関係するポリティカルな話題の映画化は難しい」、などこれまたオトナの事情から断念せざるを得ませんでした。
そこで諦めず、監督自ら、作家の福井晴敏さんに直談判して、映画化を前提にした新しい小説「終戦のローレライ」を書いてもらったそうです。しかし、様々な事情が重なり制作が長期化し、そのうちに社会情勢が変化し映画化の障壁も少なくなり、なんと映画化をあきらめていた「亡国のイージス」が、別監督・別の会社での映画化が決まったそうです。

「亡国のイージス」の映画化を逃してしまった監督ですが、「興行収入は『ローレライ』が勝った!」と嬉しそうに話されていました。

「どの作品を映画化するか」の時点から制作者たちの勝負が始まっているんですね。

予定していたセッションテーマが・・・!!

実は、スペシャルセッションではもともと以下3つのテーマの対談を予定していました。

① 樋口監督が大ヒットさせたシン・ゴジラなど、オリジナル作品を題材にした映画制作が多い理由と、オリジナルの映画との向き合い方

② 特撮映画における技術革新

③ 樋口監督が携わった新作映画のご紹介

どれをとっても面白そうです!特に、IT業界のカンファレンスとしては、どのように最新テクノロジーを作品に活用しているのか、どんな変化があるのか、②のテーマは気になりますね。
監督自らスライドを用意してくださっており、私自身、監督が過去を振り返りながら解説をしてくれるのを非常に楽しみにしていました。

過去数百本の映画について熱弁をふるう樋口監督

誰にも止められなかった樋口監督

しかし、なんと①(オリジナル作品を題材にした映画制作が多い理由)について、長く話す監督のペースに巻き込まれ、①だけでセッション時間は残り5分となり、②については一切触れることなく、終わりました。

①についても、途中で切り上げた形だったのですが、①②③全て監督のペースで、お話しされていたら、3時間くらいのセッションになっていたのではないでしょうか。
それでも、監督の映画界への視点と語り口に魅了された観客のみなさんは、たとえ延長されたとしても、笑いながらその場に居てくださったと思います。

それくらい、ずっと樋口監督の映画話を聞いていたいと思えた、面白すぎるセッションでした。(運営側としてはハラハラしっぱなしでしたが)

このセッションを通じて、ご参加の皆様と特別な一日を締めくくることができました。

ブログでは、残念ながら臨場感や楽しさが伝わらないかと思いますので、来年はぜひ、リアルでご参加いただければ幸いです!

おまけ:監督の言葉

「ゼロからやりたい気持ちはあるし、映画業界のためにも若い人に監督を任せた方が良いと思う。でも、出資者から『ウルトラマン』と『ゴジラ』を作ってと言われたらやはり嬉しくて、引き受けちゃいます」
樋口監督の人柄と特撮映画への思いがにじみ出ている、印象に残ったコメントでした。

お蔵入りのスライド

②のテーマで監督が用意されていたスライドです。いつか皆さんにお見せできるときがありますように!
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