2025.12.17

【異業種転職】マーケ出身PMがSIerでエンジニアと対等に話すために実践した、3つの「生成AI」活用術

写真提供:Gemini生成

はじめに「AI × 異業種経験」で、SIerの仕事に相乗効果を

半年前、私は「マーケティング業界」から、この「クラウドのシステムインテグレーター」の世界へ異業種転職しました。 それまではWeb広告の運用やKPI分析、コンテンツ制作が専門で、プログラミングなどの業務はほとんどなく、完全なる「非エンジニア」でした。

そんな私が、テラスカイに入社して配属されたのは、企業の「データ分析基盤」を構築し、「Tableau」で可視化するプロジェクトを回す部署。 つまり、「データを見る側」から、その裏側を「作る側」へと立場が180度変わったのです。

「やばい。プロジェクトを遂行する以前に、会話が成立しない」

SalesforceやAWS、Tableauといった最先端のクラウド技術を扱うプロジェクトに参画して直面したこと。 それは、圧倒的な「言葉の壁」でした。

エンジニアたちが交わす言葉が、まるで異国の言語のように聞こえるのです。 「データマートの設計が……」「ETLの処理負荷が……」「APIの制限で……」

「やばい。プロジェクトを遂行する以前に、会話が成立しない」

SIerへの転職において、多くの人がこの「技術知識の欠如」に不安を感じると思います。 しかし、結論から言えば、私はいま、エンジニアと一緒に議論し、プロジェクトを前に進めることができています。

その最大の功労者は、私の隣に(画面の中に)いる「生成AI」です。

この記事では、新しい環境に対して、生成AIをどのように活用して「エンジニアとの共通言語」を獲得したか。その実践的なノウハウを3つのステップでご紹介します。これからIT業界・テック企業を目指す方の参考になれば幸いです。

STEP1:AIを「翻訳機」にして、技術用語を「自分事」にする

異業種からSIerに入って最初に戸惑うのが、膨大な専門用語です。 単語の意味を検索しても、解説文の中にさらに知らない単語が出てくる……この「知識の無限回廊」にハマると、キャッチアップに膨大な時間がかかります。

そこで私は、生成AIを「自分専用の翻訳機」として使うことにしました。 ポイントは、「自分の出身業界(私の場合はマーケティング)の概念に例えさせる」ことです。

実践:比喩変換プロンプト(私の分かりやすい世界観に例えて!)

例えば、現在の部署(データマネジメント部)で頻出する「データウェアハウス(DWH)」や「ETL」という概念。これを理解するために、以下のようなプロンプトを打ち込みました。

【プロンプト例】

「私はマーケティング出身で、システム開発の知識があまりありません。
SIerの現場で使われる『ETLツール』と『データウェアハウス』の役割について、
『料理を作ってレストランで提供するプロセス』に例えて、小学生でもわかるように説明してください​」

【AIの回答(要約)】

写真提供:Gemini生成
•    データソース(Salesforce等): 農家から届いた泥付きの野菜。
•    ETLツール(加工): 野菜を洗って、皮をむいて、カットする「下ごしらえ係」。
•    データウェアハウス(保管): 下処理済みの食材がきれいに整頓された「巨大な冷蔵庫」。
•    BIツール(Tableau): お皿に盛り付けてお客様に出す「シェフ」。


こう言われると、一気に腹落ちしませんか?
「なるほど、Tableauで綺麗なグラフ(料理)を作るには、その前のETL(下ごしらえ)が重要なんだな」と直感的に理解できます。

単なる辞書的な意味ではなく、自分の知っている世界に引き寄せて理解することで、記憶への定着率は劇的に上がります。

STEP2:AIを「仮想エンジニア」にして、質問の質を上げる

PMの仕事で最も緊張するのが、お客様打合せやエンジニアへの要件伝達や質問です。

「そんな初歩的なこと聞かないでください」「その仕様じゃ動きませんよ」と言われるのが怖い……いわゆる「インポスター症候群(自分に考えや発言に自信がもてなくなる)」に陥りそうになります。

そこで私は、エンジニアに話しかける前に、必ずAI相手に「壁打ち」をする習慣をつけました。

実践:レビュー・シミュレーション

例えば、クライアントから「SalesforceのデータをTableauで見たい」という要望があったとします。それをそのままエンジニアに投げるのではなく、AIに整理させます

【プロンプト例】
「あなたは経験豊富なシニアエンジニアです。 私はPMとして、『今月の売上データを地域別に地図で表示したい』という要件を持っています。
これをエンジニアに依頼する前に、技術的な観点(データ量、更新頻度、セキュリティなど)から詰めておくべき『考慮事項』をリストアップしてください」

スムーズなコミュニケーションには予習と準備を怠らないこと

すると、AIは以下のような「エンジニア視点」のツッコミを入れてくれます。
•    「データ量は何万件ですか? 多すぎると描画が重くなります」
•    「リアルタイム性は必要ですか? それとも1日1回の更新で十分ですか?」
•    「閲覧権限はどうしますか? 部長と一般社員で見せる範囲を変えますか?」


これを見てからお客様やエンジニアとの会議に臨むとどうなるか。
「地域別の地図ですね。ちなみに、データ量と更新頻度はこれくらいを想定しているのですが、パフォーマンス的に問題なさそうですか?」
と質問できるようになります。

お客様やエンジニアからは「お、このPMは技術的な勘所(ポイント)を分かっているな」と信頼され、スムーズなコミュニケーションが生まれるのです。

写真提供:Gemini生成

STEP3:AI活用で気づいた「異業種PM」の本当の価値

AIを使って技術的な会話についていけるようになると、ある重要なことに気づきました。
それは、「コードを書く(How)」のはAIに任せればいいということ。

そして、私たち異業種転職組がSIerで発揮すべき真の価値は、「なぜ作るのか(Why)」と「誰に届けるか(Who)」を定義することだということです。

SIerの現場では、どうしても「技術的にどう実装するか」に議論が集中しがちです。

しかし、私はマーケティング出身だからこそ、 「技術的には可能でも、そのUIだとユーザー(顧客)が使いにくいのでは?」 「そのデータ分析は、経営層の意思決定に本当に寄与するのか?」 という視​点を持っています。

生成AIという「武器」を手に入れたことで、私は技術的な引け目を感じることなく、少しずつですが現場でも「ビジネス視点」での提案ができるようになりました。

「SalesforceとTableauの連携技術」は、エンジニアに教えてもらいながらAIで補完する。 その代わり、「そのダッシュボードでどう売上を上げるか」は私がリードする。

この役割分担こそが、異業種人材がSIerで輝くための勝ち筋だと感じるようになりました。

まとめ:知識の差はAIで埋められる。大事なのは「変化を楽しむ心」

転職して半年。私は技術的な議論はまだまだ生成AIによる壁打ちや予習が必要です。SalesforceやTableauの認定資格も勉強中です。 それでも、上司や先輩たちに助けてもらいながら、社内外のプロジェクトを推進しています。

もし、この記事を読んでいるあなたが、 「IT業界やSIerに興味はあるけど、知識が足りないから、技術力がないから……」 と躊躇しているなら、声を大にして伝えたいです。

今の時代、知識のギャップは「生成AI」で驚くほどのスピードで埋められます。

必要なのは、膨大な専門用語を丸暗記する能力ではありません。 新しいテクノロジー(AI)を使いこなし、エンジニアをリスペクトしつつ、自分の得意分野(前職の経験)を掛け合わせようとする「適応力」です。

テラスカイは、技術の会社です。でもそれ以上に、こうした新しい働き方多様なバックグラウンドを受け入れ、面白がってくれるカルチャーがあります。(私にはそう感じます。)

「AI × 異業種経験」で、SIerの仕事をハックする。 そんなエキサイティングなキャリアを、私たちと一緒に歩んでみませんか。
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