2020.07.07

Salesforce Summer'20バージョンアップ機能のご紹介

はじめに

こんにちは。山下です。
コロナウイルスの影響で延期されたSummer'20のリリースが7月19日にいよいよ実施されます!
ということで、今回はSummer'20のリリースノートより注目ポイントをご紹介します。

今期、私たちのチームでは日々の業務に活かすことを目的に、チーム活動の一環として年3回のメジャーバージョンアップ情報の積極的なキャッチアップを目指しています。
今回は、私含むチームメンバー4名(田伏・金定・三井田)での共同執筆でお届けします。

1.LEX UIの更なる進化

UIのアップデートは、今Salesforceを使っている方にも、これからSalesforceを使ってみたいという方にとっても嬉しい情報です!
今回のバージョンアップで、多くのニーズや好みにマッチしそうな選択肢が広がっています。
SalesforceをClassicで長く使われている方はこれを機にLEX移行も検討してみてはいかがでしょうか?

1-1.分割ビュー

日々の業務でリストビューとレコードの詳細ページの往復を繰り替えされている方には朗報です!
分割ビューなら、リストが表示されたまま新しいレコードが開きます。
リスト部分は折りたたむことも可能です。

今までのリストビューに「分割ビュー」で開く選択肢が追加されるので、ぜひ試してみてください。

※分割ビューは、ナビゲーションバーにあるオブジェクトのみがサポートされています。

1-2.フルビュー

現在ベータ版で公開されているフルビューが正式リリースされます。
フルビューでは、Classicのようにレコードの詳細の下に関連リストが表示されます。
「LEXに移行したけどClassicのUIが恋しい」「LEXに移行したいけどユーザの混乱は避けたい」「デバイスの都合上フルビュー表示が使いやすい」といった方にはおすすめです。

※フルビューは、以下の条件を満たす組織設定でのサポートとなっていますのでご注意ください。
・50 個以内の項目
・12 個以内の関連リスト
・インライン Visualforce コンポーネントなし

アプリケーション内ガイダンスビルダー

プロンプトとウォークスルーの作成をサポートするビルダーが登場しました。
そのため、ガイダンス作成時のUIが大きく刷新され、より簡単かつ直感的に使えるようになります。

また、アプリケーション内ユーザ向けステップバイステップガイドの作成が可能になった点も魅力です。
カスタムウォークスルーをユーザに表示できる 30 日間無料トライアルも用意されているので、試してみてはいかがでしょうか?

ぜひ新しくなったガイダンスビルダーを活用して、新機能を紹介してください。

2.影響あるかも?要チェック!

Salesforceのバージョンアップがどんどん行われる反面、今まで使っている機能が従来通りではなくなるリスクもあります。
本番運用組織が影響なく使えるよう、しっかり情報収集し対策を考えましょう。

2-1.サイトゲストユーザのセキュリティ

Winter'20より、コミュニティのサイトゲストユーザに対するセキュリティ強化が段階的に行われています。
ゲストユーザに「レコードの共有権限」と「オブジェクトに対する参照と作成以外の権限」を与えないことが基本的なセキュリティポリシーとなります。
コミュニティなどを使用している場合は、以下のYes/Noチャートで影響がないかチェックしてみてはいかがでしょうか?

2-2.ui 名前空間の Aura コンポーネントの廃止

パフォーマンス向上のため、2021年5月1日にAuraコンポーネントのサポートを終了する予定です。
ui名前空間のコンポーネント<ui:○○>を利用中の場合、lightning 名前空間の対応する代替コンポーネントに置き換えの計画を進めることを推奨します。
廃止される Aura コンポーネントと推奨される代替コンポーネントはリリースノート​をご確認ください。

2-3.外部 URL のリダイレクトに関する注意

セキュリティの強化により、Salesforce アプリケーション上から外部URLに遷移する際、リンク先のURLがホワイトリストに登録されていない場合は、外部URLへのリダイレクトを確認するメッセージが表示されるようになります。

3.Administrator/Developer必見

カスタマイズや開発に関わるアップデート情報も、いくつかピックアップしてご紹介します。

3-1.Lightningフローの強化

フロービルダーのUIが改善され、デバッグ機能も使いやすくなりました。

 (1) フロービルダーUIの改善

新規でフローを作成する際、推奨タブから新たに「レコード変更フロー」「スケジュール済みフロー」「プラットフォームイベントフロー」「Autolaunched Flow」を選択できるようになりました。
これにより、新規作成時に必要に応じたフローのトリガを選択しやすくなります。

 (2) デバッグできるフローの増加とデバッグの迅速化

フローのデバッグ機能を利用するときに、ロールバックモードを利用できるようになりました。
今まではレコード更新フローのデバッグをすると組織内の実レコードが更新されてしまうため、変更前の状態に戻すには手動作業が必要でした。
しかし、ロールバックモードを使用すればデバッグ後に更新された実レコードが自動でロールバックされるようになります。
※ただし、ロールバックモードの利用には下記を考慮しなければなりません。
・自動起動フローのみで使用できます。
・DML 以外のステートメント (HTTP 要求など) が実行されてもロールバックされません。
・非同期アクションと非同期 DML ステートメントはロールバックされません。
・一時停止要素と一部のアクションではロールバックモードはサポートされていません。
 このような要素またはアクションがあるフローをデバッグする場合、要素またはアクションを実行する前にフローが停止します。
 要素またはアクションの前に実行されたすべての DML ステートメントがロールバックされます。

 (3) 機能の改善

■自動起動フローのトリガ実行タイミングの設定
フローのトリガを設定する際に、「レコードが保存される前」または「レコードが保存された後」を選択できるようになりました。
これによりApexトリガの「afterトリガ」または「beforeトリガ」により近しい動作が可能となりました。

■プラットフォームイベントメッセージの受信時のトリガ設定が可能に
以前までプラットフォームイベントメッセージを受信した時をフローのトリガとして設定できませんでした。
Summer'20よりフロー新規作成時に「プラットフォームイベントフロー」を選択することによりプラットフォームイベントを起点としたフローの作成が可能となりました。

■ユーザ権限をスキップするフローの実行が可能に
フローの新規作成時に選択できる「フローの実行方法」について、Summer'20より下記の権限を無視して実行できるオプションが追加されました。
<無視できる権限>
・オブジェクトレベルセキュリティ
・項目レベルセキュリティ
・組織の共有設定
・ロール階層
・共有ルール
・共有の直接設定
・チーム
・テリトリー

これによりゲストユーザがアクセス権のないレコードを作成、または編集できるようになります。

3-2.Lightning Web コンポーネントのユーザ権限の確認

現在のユーザの権限に応じて動作をするように Lightning Web コンポーネントを開発できるようになります。
ユーザが権限を持っているかどうかを確認する方法は以下です。

範囲指定されたモジュールの @salesforce/userPermission と @salesforce/customPermission から Salesforce の権限をインポートして、true または false のどちらであるかを確認します。
import hasPermission from '@salesforce/userPermission/PermissionName';
下記コンポーネントのサンプルは、現在のユーザがViewSetup標準権限を持っているかどうかを確認するものです。(リファレンスから引用)
// app.js
import { LightningElement } from 'lwc';
import hasViewSetup from '@salesforce/userPermission/ViewSetup';
export default class App extends LightingElement {
    get isSetupEnabled() {
        return hasViewSetup;
    }
    openSetup(e) {...}
}
app.js
ユーザがViewSetup権限を所持している場合は、ボタンが有効化されます。
<!-- app.html -->
<template>
    <setup-panel-group>
        <setup-button disabled={isSetupEnabled} onclick={openSetup}></setup-button>
    </setup-panel-group>
</template>
app.html

3-3.Apex を使用した 2 要素認証の開始

コロナウイルスの影響を受けて以前に比べて在宅勤務へのハードルも下がり、Salesforceへのアクセス可能範囲を拡大したい、しかし単純にどこからでもアクセス可能とするのはセキュリティ面が気になる・・・といった要望も増えているのではないでしょうか?
このような要望に対して2要素認証でのセキュリティ強化を考える際、設計段階でApexのチョイスも増えているということは押さえておきましょう。

4.NEXT☞期待の注目機能

今後のバージョンアップを期待しつつ、注目度の高い機能についてもご紹介します。

4-1.Dynamic Forms & Dynamic Actions(動的フォーム & 動的アクション)

Summer'20では正式リリースされず、日本語版のリリースノートには情報がありませんが、かなりニーズも多く期待度の高い機能です。
端的に、Lightningアプリケーションビルダーの機能が強化され、標準カスタマイズで実現できることが増えます。
動的フォームは、データ入力時に項目の表示/非表示が可能になります。

動的アクションは、データの内容に合わせてアクションボタンの表示/非表示の制御が可能になります。

※デスクトップ表示のみ有効化できます。
※カスタムオブジェクトのみサポートされています。

4-2.Einstein OCR

Summer'20で正式リリース予定ではありますが、英語のみ対応なので、実用性の面で日本語対応に期待です。
検証したところ、読みとり精度は非常に高いことが確認できています。

検証画像

API 結果(一部抜粋)

さいごに

今回コロナウイルスの影響を受けて、多くのお客様が働き方やビジネスの変化に直面すると同時に、業務システムに対するニーズも変化しているのではないかと思います。
さまざまな"変化"に柔軟に対応できるのは、Salesforceの強みです。
今後も新機能にも注目しながら、Salesforceを最大限に活用していきましょう。
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