2022.11.28

Web3時代のマーケティング変遷

はじめに

最近、「Web3」という言葉がセミナーや記事でキラーワードとして使われています。
今までの仕組みに対してのアンチテーゼとして、NFTやDAO(分散型自律組織)、メタバースという概念で社会が変革していくという文脈で語られます。スマートフォンの普及により社会が変わったように、インターネットの新しい技術によって社会構造が変わっていくと注目されています。

この概念はIT企業だけでなく様々な業界に影響を与え、少しずつですが法整備を含めた検討までに及び社会構造が変化すると言われております。今回は、Web3という概念でマーケティングがどう変わるのかを語ってみたいと思います。個人的な解釈も含まれるので、一般論と違う場合もありますがご容赦ください。

Web3の解釈

そもそも「Web3」って何?って方もいると思います。まずはその解釈と生まれた背景をお話しします。簡単に言うと、Web3は「インターネットは、新しく3番目の時代になる」という意図で多くは使われます。では、Web1やWeb2(現在)は、どういう時代だったのでしょうか?

Web1はホームページ時代とも言われて、先進的な個人や一部の企業により発信されていました。ビジネスと切り離して牧歌的にサイトを作っている人たちが多くいて、ある意味、良質なコンテンツが豊富だったのではないかと今だと思います。23時のテレホーダイになると一斉に掲示板に書き込みするなど、通信の制限による独特な文化もありました。

Web2は言わば現在で、誰もが発信できる時代。一部の先進的な人だけでなく、多くの人がスマートフォンなどを所有し、ブログなりSNSで情報発信できます。手軽に発信できるようになりましたが、情報が一部の大企業やプラットフォーマーにより管理される時代になったとも言えます。
GAFAは、ベンチャー時代頃の市民革命軍のような扱いから変わり、今は市民を支配する帝国軍のように揶揄する人もいます。そのアンチテーゼとしてWeb3は権力分散型のネットワークを構築する時代と言われています。

「大量生産の時代」から「個々の嗜好の時代」に

次にマーケティングの変遷をお話しさせていただきます。インターネット黎明期である大量生産、大量消費の時代は、消費財においては「マス広告」「流通チャネル」が重視されていました。
例えば、テラスカイコーラという飲料をテレビCMや街中の看板で知り、コンビニやスーパーに行くとテラスカイコーラが売っているので買うという消費行動です(マーケティング1.0とも言われますが)。

時代が変わり、徐々に「個々の嗜好」が重視され、これが来るインターネット時代にマッチしました。マス広告に大量投下しなくてもSNSでバズる可能性があり、コンビニの陳列棚にお目当ての商品がなくてもECサイトからD2Cで購入できる時代です。顧客に好きになって選んでもらうファンマーケティングという概念が生まれました。

ファンマーケティングはスターバックスやコメダ珈琲などが成功事例と言われています。両社ともコーヒーという市場を超えて「他のコーヒー店には行かないけどスタバやコメダに行く」という層が生まれました。そして企業はファンサイトを作ったり、ファン向けのイベントや製品開発したりと、ファン育成に努めてきました。

Web2時代のファンマーケティング

個々の嗜好に合わせるという概念は製造業にも波及します。自社で工場などの生産設備を持たないファブレスメーカーが増え、巨額の投資をしなくても海外の生産会社と協力して家電やガジェットなどの製品を作れるような時代になりました。

ファブレスメーカーは価格競争には勝てないので、付加価値のある製品を企画する必要があります。コスメ業界が顕著ですが、Web2時代はインフルエンサーを活用することでファンを獲得してきました。
芸能人や有名Youtuberのプロデュース製品、コラボ製品でインフルエンサーのファンを製品のファンに取り込みます。Web2時代のファンマーケティングは、前述した珈琲店でもコスメでも企業やインフルエンサーが先導してコミュニティを形成し、消費者はフォロワーとして機能してきました。

それは悪いことではありませんが、ある意味、プラットフォームを支配するGAFAと同じ構造になっています。
現在のアンチテーゼとして考えるWeb3的な発想でいくとコミュニティは民主化し、コミュニティに所属する個人が主体となる形になるのではないでしょうか。

DAO(分散型自律組織)とマーケティング

ITガジェットを販売する中小企業で、正式販売前にクラウドファンディングでテストマーケティングしたり、開発費を集めたりする手法を最近よく見かけます。
そういう製品は一部の人に支持される尖ったものであることが多く、熱狂的なファンにより支えられています。その観点から考えるとファン育成するファンマーケティングの一貫と言えます。

Web3の概念が普及すると、そのファンコミュニティはDAO的コミュニティに進化していきます。具体的にはメーカーと一緒に共創していく仕組みが発展していきます。

DAOとは、日本語で「分散型自律組織」とも言われるWeb3のキーワードのひとつです。
中央管理者が不在な組織なので、方針は特定のリーダーでなく所属するコミュニティメンバーの総意で決定します。さらには特定の資本家でなく、コミュニティメンバーが組織の所有を分配する、という思想を持っています。

現状でもクラウドファンディングに参加した人は安く購入できるなどのインセンティブが発生します。それは先行投資したリターンというイメージでのインセンティブです。
新時代は共創の対価としてNFTにより分割所有されてインセンティブを受けると思われます。
メーカーは管理者的な立ち位置でなく、あくまで盟主的な立ち位置になります。
顧客からファンに。ファンからコミュニティメンバーに。そのような図式が発生します。

もちろん、全ての製品がそうなるわけではないですが、コスメ、ITガジェット、アパレルの一部では確実にこの構造が進むと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか?Web3とマーケティングという観点で、広義のマーケティングとして構造変化した未来について書きました。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。読んでいただき有難うございました。
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