当社では、社内の技術力向上の一環として、西日本の拠点メンバーを中心に Salesforce Automotive Cloud の勉強会を実施しています。検証環境での確認や公式ドキュメントの読み合わせを通じて得た知見を、同じようにキャッチアップする方の助けになる形で整理したのが本記事です。
はじめに:整備・点検現場における帳票出力の課題
自動車業界、特にディーラーや整備工場の現場では、車両の点検作業の際にチェックシートや見積書、作業報告書といった帳票の作成が欠かせません。しかし、顧客情報や車両のシリアル番号、過去の点検履歴などを毎回手作業で入力・転記するのは、非常に手間がかかるうえにヒューマンエラーの原因となります。
こうした課題を解決するのが、Salesforce Automotive Cloudのコア機能として提供されているDocument Generation(ドキュメント生成機能)です。本記事では、この機能の概要から、実際のチェックシート出力に向けたデータモデルやアプローチ、設定のポイントについて解説します。
技術解説:Document Generationの仕組みとアプローチ
Document Generationは、あらかじめ用意したMicrosoft Word(.docx)やPowerPoint(.pptx)のテンプレートファイルに、Salesforce上のデータを自動で差し込み、カスタマイズされたドキュメント(PDF変換も可能)をスピーディに生成する機能です。
2つのドキュメント生成アプローチ
ドキュメント生成には、大きく分けて以下の2つのアプローチがあります。用途やデータ取得の複雑さに応じて使い分けます。
| 比較項目 | generatedocument | generatedocumentwithtokendata |
|---|---|---|
| 概要 | Salesforce内のデータを自動で抽出・変換してドキュメントに差し込む。 | 必要なデータを、実行時に入力(トークンデータ)として直接渡して生成する。 |
| ドキュメントテンプレートに指定するもの | テンプレートファイル / Data Mapper [抽出] / Data Mapper [変換] | テンプレートファイルのみ |
| 適したユースケース | 単一のIdをキーに、標準・カスタムオブジェクトから決まったロジックでデータを抽出する場合(例:取引先概要資料)。 | OmniScriptのウィザード上でユーザーが入力したデータや、外部システムのデータなど、実行時に動的にデータを渡す場合。 |
テンプレートの設計(トークン)
WordやPowerPointのテンプレート内には、トークンと呼ばれるプレースホルダーを配置します。これらが実行時に実際のデータに置き換わります。
- 変数:
{{AccountName}}のように記述し、テキストデータを差し込みます。 - 繰り返し:
{{#OrderItem}}...{{/OrderItem}}のように記述し、明細行(チェックシートの点検項目など)をJSON配列の数だけ繰り返して出力します。 - 条件評価:
{{#IF_Condition}}...{{/IF_Condition}}で、特定の条件を満たした場合のみ文言やセクションを表示させます。 - 画像:
{{IMG_Signature}}のようにIMG_から始めることで、画像(署名データなど)を動的に挿入できます。
OmniScriptからの呼び出しとLWCの設定
ドキュメント生成は、通常 OmniScript のステップ上で標準LWC(runtime_industries_docgen__osGenerateAndPreviewDocument)を呼び出すことで実行します。この際、プロパティとして context-id(対象レコードのID)、template-id(テンプレートID)、document-title(ドキュメント名)などを渡す必要があります。
考察・注意点:導入時の制限事項とTips
Document Generationを実業務(点検チェックシート出力など)に組み込むにあたって、いくつか把握しておくべき制限事項や設定ポイントがあります。
本機能を利用するには、設定画面から「ドキュメント生成(Document Generation)」の一般設定で「ドキュメントテンプレートを設計」を有効化する必要があります。また、ユーザーには
DocGen Designer(テンプレート設計者向け)や DocGen Runtime User(実行者向け)の権限セットライセンスおよび権限セットの割り当てが必須です。
主な制限事項
ファイルサイズ制限やリクエスト制限などの制限事項や考慮事項がありますので、Salesforceヘルプの「ドキュメント生成の制限事項」をご確認ください。
おわりに
Automotive CloudにおけるDocument Generation機能を活用することで、整備現場のペーパーレス化と業務効率化を大きく前進させることができます。本記事の要点は以下の3つです。
- Automotive CloudのDocument Generationは、Word/PPTテンプレートにSalesforceのデータ(車両情報や顧客情報)を動的に差し込み、PDF等を自動生成する機能である。
- 要件に応じて、Data Mapperを利用した自動抽出(generatedocument)と、OmniScriptから動的データを渡す方式(generatedocumentwithtokendata)を使い分けることができる。
- ファイルサイズ(2MB上限)やリクエスト回数の制限を考慮したうえで、権限セットと設定画面の有効化を正しく行う必要がある。
機能の詳細やチュートリアルについては、ぜひSalesforce HelpやTrailheadの「Foundation Document Generation」モジュールも併せて確認し、実際の検証環境で手を動かしてみてください。


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