2023.05.31

レポートで残す、レポートで動きを見る、レポート作成スナップショットのご紹介

はじめに

Salesforceに登録されたデータを数値化・分析する際はレポートを使用すると思います。
しかしレポートには更新したその瞬間のデータしか表示されないため、Salesforce上で数字の推移を追うことは難しいです。

そこで今回は、レポートの結果を日次で残すことができる機能「レポート作成スナップショット」について紹介します。

レポート作成スナップショットのつかいかた

1.事前準備

レポート作成スナップショットの設定を行う前に、下記2点を用意する必要があります。
・集計結果を日次で残したいレポート(ソースレポート)の選定、または作成
・日次で集計したデータを格納するオブジェクト・カスタム項目

①ソースレポートの選定・作成
今回は「今月活動した取引先数の推移」を日次で分析する想定で進めていきます。
そのために、以下4つの項目を使用した取引先のレポートを作成しました。
・取引先名
・最終活動日
・当月活動実績(最終活動日が今月であれば“活動済”、そうでなければ“未活動”と表示する行レベルの数式項目)
・活動実績集計(未活動の取引先レコードと活動済の取引先レコードを、それぞれ集計する項目)

今月活動済かどうかを集計するため、“当月活動実績(行レベルの数式項目)”でグループ化しておきます。


②日次で集計したデータを格納するオブジェクト・カスタム項目の作成

次に、レポート作成スナップショットのデータを格納するオブジェクトを作成します。


作成したオブジェクトに、データを保存する項目を作成します。
ソースレポートの一項目値が、作成したオブジェクトの一項目へ入力されるイメージです。

スナップショットで保存できるソースレポートのデータは
・行レベルの数式項目
・集計項目
・レコード件数
のため、以下のとおりカスタム項目を作成しました。
・活動実績(ソースレポートの“当月活動実績”の値を保存するため)
・件数(ソースレポートの“活動実績集計”の値を保存するため)

2.レポート作成スナップショットの設定

いよいよスナップショットの設定に入ります。

①設定画面から「レポート作成スナップショット」を開きます。
 その後“新規レポート作成スナップショット”をクリックします。

②スナップショットの基本設定をします。

実行ユーザ
 ‐ソースレポートを実行するユーザを指します。
  ここで設定したユーザが参照できるデータの範囲内で集計されます。

ソースレポート
 ‐日次で集計したいレポートを選択します。
  今回は事前準備で作成した「当月活動記録」レポートを選択します。

対象オブジェクト
 ‐日次で集計した結果を保存するオブジェクトを選択します。
  こちらも事前準備で作成した「活動実績集計」オブジェクトを選択します。

必須項目をすべて入力したら“保存&項目の対応付けの編集”をクリックします。
③スナップショットの詳細設定をします。


1.集計する値を、ソースレポートのグルーピング単位で選択することができます。
 今回は“活動済の取引先”と“未活動の取引先”でレコード数を集計したいため、「グルーピング1:当月活動実績」を選択します。

2.対象オブジェクトとソースレポート間の項目の対応付けをします。
・集計日(Name)項目に、スナップショット実行時間を
・活動実績項目に、当月活動実績を
・件数項目に、活動実績集計を
対応付けします。

必要な対応付けが完了したら“保存”をクリックします。
④最後に、スナップショットを実行する頻度と時刻を設定します。
 今回は日次で集計したいので実行頻度を“毎日”で設定しますが、週次・月次でデータを保存することも可能です。
 集計粒度に合わせて設定しましょう。

実行結果

実行結果はレポート作成スナップショット設定画面の「実行履歴」に表示されます。
“未活動”の取引先数集計結果と、“活動済”の取引先数集計結果の2レコードが作成されます。

対象オブジェクトを確認すると、レコードが以下のとおり作成されていました。

2023年5月10日の集計時点では、
・今月中に活動をしていない取引先が87件
・今月中に活動した取引先が13件
ということになります。

おわりに

いかがでしょうか。
オブジェクトに蓄積したデータを用いてレポートを作成することができます。
以下のように、活動実績の件数推移をグラフで見える化することもできます。

レポート作成スナップショットの実行を成功させるにあたりいくつか注意事項があり、Salesforce公式ヘルプに実行失敗時の解決策とあわせて記載してあります。
またスナップショット実行は成功するものの、気をつけたほうがよい点もあります。
・ソースレポートの集計レベルとスナップショット実行間隔がともに細かくならないよう、事前に分析粒度を検討する。
 →すぐにレコード数が膨大になり、ストレージ容量を圧迫してしまいます。
・ソースレポートのレコード表示件数制限(2000件)を超えないよう、あらかじめ検索条件を設定して絞っておく。
 →スナップショットの集計はソースレポートをもとに実行されるため、正確な分析ができなくなります。

上記のとおり考慮事項は多いですが、Salesforce標準機能で一定周期のデータ遷移をみることができるすぐれものです。
ソースレポートと対象オブジェクトに作成する項目次第でさまざまな情報を蓄積・分析できるので、みなさんもぜひ使ってみてください。
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