2021.08.04

エンジニアの心身を整える読書のススメ

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はじめに

在宅勤務も定着してきた今日この頃、みなさまは通勤時間が空いた分をどのように過ごされておりますでしょうか。
ご家族と過ごされる方、近所の公園などを散歩される方、時間ギリギリまで睡眠をとられる方・・・
それぞれの過ごし方があるかと思います。

私の場合、主に読書の時間として活用しました。
もともと通勤電車の中でも本を読んでいましたが、徒歩の時間なども本を読む時間に使えるようになったこともあり、昨年は普段の1.5倍ほどの本を読むことができています。
そこで読んだ本の中には、直接的にシステムエンジニアリングやプロジェクト遂行に関わる本でなくても、エンジニアとして学ぶべき要素が多いものがいくつもありました。

この記事では、エンジニアとして健やかに成長していくうえで大事かなと思う考え方を、読んできた書籍の中からいくつか紹介させていただきます。

エンジニアの心・技・体

心技体、という言葉は聞いたことがあるかと思います。
では、具体的にどういう意味なのか。

調べると、以下のように記載されておりました。
精神力(心)・技術(技)・体力(体)の総称。スポーツ界でよく使う。「心技体のバランス」
では、エンジニアにとっての「心技体」とはどのようなものでしょうか。
異論のある方もいらっしゃるかとは思いますが、私は次のように考えます。

心:プロジェクトを進めるうえでの志や心構え
技:プロジェクトマネジメントやコーディングの知識・スキル
体:プロジェクトを円滑に進められる心身の状態、コンディション

この記事を読まれるような方は「技」については十分な情報があると考えます。
・・・というより、その方面では私より見識のある方が多数いらっしゃるかと思います。
そのため、この記事では「心」と「体」にフォーカスいたします。

心:思いを深く真摯に磨き上げる

「心」の1冊目は『「言葉にできる」は武器になる。』です。
コピーライターの梅田 悟司さんの本です。

写真提供:「言葉にできる」は武器になる。 | 梅田 悟司 |本 | 通販 | Amazon
この本、最初は「心」ではなく、「技」の本だと思って読み始めました。
お客様との打ち合わせでの発言や、作成する資料の文章のレベルアップをさせたいなと。
もちろん、そういう意味でも有益だったのですが・・・

それ以上に、この本の真価は、「何を伝えるか」を考えさせてくれることにありました。
志を持ち、共有する。それが人の心を動かしていく。
via 『「言葉にできる」は武器になる。』51ページ
志や意思を持てるかどうかに関しては、自分が行おうとしていることに対してどれだけ本気で向き合っているかにかかってくる。
via 『「言葉にできる」は武器になる。』51ページ
他者に思いを伝えるのであれば、それだけ本気で考え、信じていなければならないし、何かを手伝って欲しいと思っているのであれば、成し遂げたいことや理由が明確でなければならない。
via 『「言葉にできる」は武器になる。』51ページ
エンジニアとしてお客様に向き合っていく中で、さまざまな言葉を交わすことになります。

それでは、その言葉の一つ一つの中に、どのような志や意思が含まれているべきでしょうか。
そして、その志や意思は、どのようなものであるべきでしょうか。
それは、本当にお客様に届けたいもの、届かせるべきものなのでしょうか。

お客様に対して行う提案の土台に何があるべきか。
どのような姿勢で、自分の行う提案を検討していくべきか。

この本からは、そんな「心」を学べるかと思います。

心:好きなものは薦めたい

さて、自らが行おうとする提案を真摯に考え、深め、磨き上げていくとします。
「お客様のお役に立つ提案を行っていこう」「お客様に喜んでもらえるシステムを作り上げよう」といったことをスタート地点として考えを深めていくときに、何が必要でしょうか。

ちょっと、こんなことを想像してみてください。
今日はあなたの、大事な方の誕生日です。
その方にプレゼントを贈ろうと考えた時に、どのようなものを選ぶでしょうか。
もちろん、その方の好みに合うものであることは前提かと思います。
それと同時に、あなたもそれを好きで、自信をもって贈れるものであることも、大事なポイントではないでしょうか。

エンジニアが顧客に何らかの提案を行う際にも、根底にそのような思いがあったなら。
これから提案しようとしているプラットフォームを、自分も本当に好きだと思えていたら。
より一層、熱意のこもった提案ができるのではないかと考えます。
大切なのは、「愛情」ですね。

エンジニアであれば、自分が提案を行おうとしているプラットフォームでどのようなことができるかを認識していて、それがどれほど魅力的なのかを熱く語れるのかなと思います。
技術的なアプローチによる、プラットフォームへの愛情の深化です。
一方で、そのプラットフォームに込められた思いを知るという方向からも、愛情を深めることはできるのではないかと思います。

写真提供:トレイルブレイザー: 企業が本気で社会を変える10の思考 | Benioff,Marc, Langley,Monica, ベニオフ,マーク, ラングレー,モニカ, 典子, 渡部 |本 | 通販 | Amazon
『TRAILBLAZER』。
セールスフォース・ドットコム社の会長兼CEOであるマーク・ベニオフ氏の著書を読むことで、Salesforceというプラットフォームに込められた氏のビジョンや想いを知ることができます。
そのことが、Salesforceの提案を行う熱意にもつなげられるのではないかと思います。

今回紹介する本は、基本的に、非常に読みやすく、かつ、読み終えやすい本を紹介しております。
その中では、この本は一番歯ごたえがあるかもしれません。
ただ、チャレンジする価値はありますよ。

心:道を究めた方から学ぶ

「心」のテーマの最後に、「志や心構え」という言葉や、「プロフェッショナル」を考えるうえで、まず読んでほしいこの方の著作から、すぐ手元にあった一冊を紹介させていただきます。

写真提供:超二流: 天才に勝つ一芸の究め方 (ポプラ新書) | 克也, 野村 |本 | 通販 | Amazon
昨年2月に惜しくも亡くなられた、野村克也さん。
この方の本は、野球という枠を超えて、「社会人」「プロフェッショナル」とは何かを問いかけ、教えてくれています。
これだけは誰にも負けないという強みを見つける。そうすれば生きる道はおのずと開けてくるはずだ。
via 『超二流:天才に勝つ一芸の究め方』39ページ
「プロセス」さえ見つかれば、私は結局「徹底できる人」こそ、一番強いと思っている。
via 『超二流:天才に勝つ一芸の究め方』139ページ
上に立っても、結果が出ても、成長するために意識すべきことは、謙虚たることだ。「謙虚」に「自信」を持つことで、必ず人は成長できる。
via 『超二流:天才に勝つ一芸の究め方』223ページ
いくつか引用するだけでも、この本の中にどれほど珠玉の言葉が詰まっているかを感じていただけるのではないでしょうか。

一方で、プロ野球選手・監督だった方なので、どうしても具体例は野球になってしまいます。
ただ、それはエンジニアとして仕事を行う場面に置き換えて読むことも十分にできます。

例えば、以下のような文章がありました。
私がよく言うのは、キャッチャーは試合がある1日で3試合やっているということだ。試合前の「想像野球」、実際の試合の「実践野球」、そして試合後の「反省野球」である。
via 『超二流:天才に勝つ一芸の究め方』111ページ
このあと、「想像野球」は事前のシミュレーション、「反省野球」は試合後の振り返りと説明され、「反省野球」をきちんと行いうことの大切さや、それが成長につながることが記されています。

この"野球"を"打ち合わせ"に変えてみてはいかがでしょうか。

「想像打ち合わせ」は打ち合わせのためのきちんとした用意や事前のシミュレーション、「反省打ち合わせ」は打ち合わせ後の振り返りとなります。
「反省打ち合わせ」をきちんと行いうことが大切であり、それが成長につながると考えることができます。

このように、野村克也さんの本は気づきの宝庫ですので、野球に興味がない方もぜひ一度手に取ってみてください。

余談:読書の習慣がないのであれば・・・

次は、エンジニアの「体」に関する読書について進のですが、その前にちょっと本筋から離れて、一つ確認させてください。

みなさん、読書しています?

文化庁が実施した平成30年度の「国語に関する世論調査」によれば、1カ月に本を1冊も読まない人は、47%もいるんですね。
テレビやスマホ(SNS)、ゲームなどに時間を取られているのでしょうか。
それとも、そもそも本を読むことが嫌なのでしょうか。

学生時代に、教科書の興味のない文章を読まされることで、読書嫌いになってしまったという方もいるのかなと思っています。
どうしても読書が苦手な人に対しては、どのような本を推薦すべきか。。。

写真提供:まんがでわかる 7つの習慣 | フランクリン・コヴィー・ジャパン |本 | 通販 | Amazon
読書が苦手な方は、『まんがでわかる 7つの習慣』あたりはどうでしょうか。
また、この本が出て以降、ビジネス書の内容をマンガで紹介する書籍がいくつも出てきています。
気になるものを選んで手に取ってみてはいかがでしょうか。

おそらくですが、本を読むのが苦手な方の中には、「字だけの本」がハードルになっている方もいると思うのです。
ただ「文字」だけを読んでも、それがイメージとして頭に入ってこない。

そうであれば、まずはこのような本を読んでいくことで、少しずつ慣れていけばいいかと思います。
マンガ内での文字数も多いですし、合間には解説の文章も入っています。

水泳が苦手な人に、いきなり25mのプールで泳いでもらうのはハードルが高いですよね。
まずは浮き輪やビート板に手助けしてもらいながら練習するかと思います。
それと同じように、「字の本」が苦手であれば、ビジュアルの力に助けてもらえばよいのです。

なお、この本でもまだ辛い場合には、いっそ「字の多いマンガ」から始めましょう。
『名探偵コナン』や『こちら葛飾区亀有公園前派出書』のように、豆知識が出てくるものがおすすめです。

体:食事と休息と運動

閑話休題。
それでは、今度は「体」に入りましょう。
エンジニアとして活躍を続けていくためには、「体」がしっかりしていることが大事ですよね。
いくら仕事やスキルアップをがんばろうと思っても、心身のどこかが不調な状態では、高いパフォーマンスを出すこともできず、むしろダウンやリタイアへとつながってしまいます。

心身の状態を整えるにはどうすればいいのか。
色々な本を読んできた中で、とにかく一冊おすすめしたいとすればこの本です。

写真提供:筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法 | Testosterone(テストステロン) |本 | 通販 | Amazon
Testosteroneさんの『筋トレが最強のソリューションである』。

どなたかが言っていました、「筋肉は裏切らない」。
まず筋肉をつけて、自分の最高の味方を手に入れましょう!

・・・みたいな、ちょっと突拍子もない本なのかなと思って読んでみたのですが、いい意味で予想を裏切られました。
『メンタルが弱ったら試すべき5つの行動』
「あれ? 俺/私メンタルが弱ってる?」って思ったら試すべき行動
①8時間睡眠の確保②週3日の運動(筋トレが至高)③朝起きたら太陽の光を10分は浴びる④3食しっかり食べる⑤誰でもよいので悩みを話す(僕はよくダンベルに話し掛けてる)
効果はすべて科学的に証明されています。
via 『筋トレが最強のソリューションである』18ページ
心身の調子を整えるうえで、これ以上語ることはないのではないかと思います。
1つ1つに細かい説明を補足したり、具体的なやり方などを付け加えていくことも可能ですが(そのような本も何冊か読みましたが)、何はともあれまず行うべきことがこれほどシンプルに(かつ、ユーモラスに)まとめられていることに、名著『アイデアのつくり方』を読んだ時のような衝撃を受けました。

もちろん、8時間睡眠などは仕事の状況次第ではハードルが高いかもしれません。
ただ、①~⑤のいずれの内容も、どこかの本で科学的に効果があると読んだ内容ばかり。
調子が悪いなと思ったときには、騙されたと思って実行してみてください。
間違いなく元気が出てきますよ。

1ページ1ページの内容もコンパクトにまとまっていますし、文章に独特の軽妙さもあり、読みやすいです。
この本は、「筋トレ」ではなく「健康」について考えてみたい時に読んでみるといいかと思います。

体:姿勢と呼吸を整える

「体」についてはもう一冊。
このような本を読んでみてはいかがでしょうか。

吉田昌生さんの『マインドフルネス瞑想入門』です。

写真提供:~1日10分で自分を浄化する方法~マインドフルネス瞑想入門 | 吉田 昌生 |本 | 通販 | Amazon
Salesforceエンジニアの方であれば、TRAILHEADで学習を進める中で、「マインドフルネス」や「瞑想」についてのモジュールをクリアされているかもしれませんね。
さまざまな企業で「瞑想」や「ヨガ」などが推奨されているという情報も、どこかで見かけられたのではないかと思います。

同じような分野に関して何冊かの本を読んでいくと、共通して取り上げられている項目があることに気付きます。
そのような内容は、大事なポイントである可能性が高いです。
「瞑想」や「ヨガ」、トレーニング後のストレッチなどの本を複数冊読んだ結果、以下の2点が注目すべきポイントであると分かってきました。
・姿勢
・呼吸

正しい姿勢と、ゆったりとした呼吸。
この2つを行えれば、心身をリラックスさせることができそうです。
緊張する場面への対応としても効果的ですよ。

最後に

いかがでしたでしょうか。

仕事に直結する本を選んでの読書も、スキルアップを行ううえでは効率的でいいかと思います。
ただ、それ以外の本を読んでみるのも面白そうだなと思っていただけたのであれば、ぜひ何か一冊手に取ってみてください。ちょっとした気づきがあるかもしれませんよ。
あるいは、本を読む習慣はないがちょっと読んでみようかと考えていただけたならば、この記事の書き手としてそれに勝る喜びはありません。

それでは、最後にもう1冊ご紹介して、この記事の締めとさせていただきたいと思います。

写真提供:もっこすの城 熊本築城始末 | 伊東 潤 |本 | 通販 | Amazon
『もっこすの城』、伊東潤さんの歴史小説です。
藤九郎の手日記(工程表)は厳密で、行き当たりばったりで何かを行うことはない。
ーー何事も算段だ。算段さえできていれば、不測の事態が起こっても対処できる。
秘伝書にも書かれていたが、普請作事の基本は算段、すなわち計画にあり、それに従って進めることが何よりも大切だ。
via 『もっこすの城』200ページ
歴史小説を読んでいたはずなのですが、いつの間にやらプロジェクトマネジメントについて学んでいるような気分になってきました。
考えてみれば、お城を作るなんて、この上なく規模の大きなプロジェクトですよね。

「体」を整えることを目的に、リラックスのために、ただ楽しんでみるのもよし。
何か仕事に通じるエッセンスを拾ってみるもよし。
作者が伝えたいメッセージを受け取って、人間としての幅を広げてみるのもよし。

小説やエッセイなどの読書も、エンジニアとしてレベルアップするうえで役に立つのではないかと思いますよ。

ぜひ、お好みの一冊を見つけて、読書してみてください。
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