Dreamforce2025:10 Key Tips for a Successful Data 360 Implementation

Dreamforce2025のセッション「Data Cloudの実装を成功させるための重要な10のヒント」について、ご紹介します。

はじめに

こんにちは!

Dreamforce2025は連日大盛況のなか行われています!
サンフランシスコは乾季にも拘わらず前日には大雨に見舞われました。
ただでさえ13~17度と日本に比べて寒い中の雨に降られすっかり風邪をひいてしまった私は、くしゃみの度に周りから「Bless you!」と言われ、アメリカを感じています。

さて、今回私が参加してきたセッション「10 Key Tips for a Successful Data 360 Implementation(Data Cloudの実装を成功させるための重要な10のヒント)」についてご紹介させてください。

10 Key Tips for a Successful Data 360 Implementation

概要

このセッションでは、現在Data 360にブランド名が変更されたSalesforce Data Cloudの実装と効果的な活用に焦点を当て、統合データ管理プラットフォームとしてのその能力を解説されました。

■Data 360概要■

★統合データ管理(Unified Data Management): 複数のソースからのデータを一元化し、「信頼できる唯一の情報源(single source of truth)」と統合されたプロファイルを提供します。
★リアルタイム分析(Real-Time Analytics): 情報に基づいた意思決定を促進するためのインサイト(洞察)とレポート機能を提供します。
★スケーラビリティ(Scalability): 組織の成長に合わせて設計されており、増大するデータ量と複雑性に対応します。
★接続(Connect): 構造化データと非構造化データのすべてを簡単に接続できます。
★ガバナンス(Governance): アプリケーションやエージェント全体で、すべてのデータとメタデータを大規模に管理(ガバナンス)します。
★シームレスな連携(Seamless Integrations): Salesforceアプリケーションやサードパーティのツールと容易に接続し、機能性を強化します。

Data360の向き不向き

向いている機能(What it Does)
・異なるデータの調和(Harmonizes disparate data)
・関連データによるプロファイルの統合(Unifies profiles with related data)
・統合プロファイルに基づいたインサイトの構築(Build insights on unified profiles)
・調和されたデータのセグメント化(Segment harmonized data)
・アプリケーションとエージェント全体で関連性の高い体験を促進するためのデータのアクティベーション(Activate data to drive relevant experiences across your Apps & Agents)
・Agentforceのためのデータ基盤(Data Foundation for Agentforce)

向いていない機能(What It's NOT)
・ETL/ミドルウェアツール
・データクレンジング
・MDM(マスターデータ管理)
・ゴールデンレコード
・データガバナンス
・バックアップおよび災害復旧
・ビジネスインテリジェンスプラットフォーム


Data Cloudという名前からデータレイクのような性能を期待されることがありますが、そういった大量データを保持するような機能は向いていません。

Tip #1 Understand the Platform

Tip #1 プラットフォームを理解しよう!

Data360の構成は他のSalesやServiceとは異なります。
まずはそういった違いを理解しましょう。

・標準データモデルとカテゴリ(Standard Data Model & Categories)
・コネクタ(Connectors)
・ID解決(Identity Resolution)
・計算インサイトとストリーミングインサイト(Calculated & Streaming Insights)
・アクティベーションターゲットとデータアクション(Activation Targets & Data Actions)
・自動化(Automation)
・サンドボックス(Sandboxes)

Tip #2 Involve Stakeholders Early

Tip #2 ステークホルダーを早期に巻き込もう!

様々な情報を集約して活用するためには全体最適化は必須です。
そのためにも早期にステークホルダーを巻き込んでいくことが重要になってきます。

・部門横断的な賛同を得る(Get cross-functional buy-in)
・ビジネス全体から十分な意見が反映されていることを確認する(Make sure enough voices across the business are represented)
・チームを連携させる:マーケティング、IT、営業など(Align teams: Marketing, IT, Sales, etc)
・主要なステークホルダーを最初から巻き込む(Involve key stakeholders from the start)

★Data Cloudがどのように使われるかについてのインサイト(Insights into how the Data Cloud will be used)
★元データについてのより良い理解(Better understanding of source data)
★早期の賛同がより円滑な導入を促進する(Early buy-in will promote smoother adoption)

Tip #3 Define Clear Business Objectives

Tip #3 明確なビジネス目標を定義しよう!

・Data Cloud の実装をビジネス目標に合わせる(Align Data Cloud implementation with business goals)
・データ活用のための主要なユースケースを特定する(Identify key use cases for the data)
・期待結果を定義する(Define desired outcomes)
・成功を測定するための KPI を設定する(Identify KPIs to measure success)
・明確な戦略を持つ(Have a clear strategy)

★顧客セグメンテーションの改善(Improve customer segmentation)
★パーソナライゼーションの強化(Enhance personalization)
★クロスチャネルマーケティングの推進(Boost cross-channel marketing)
★サービス担当者の生産性向上(Increase service rep productivity)
売上収益の増加(Increase sales revenue)

Tip #4 Assess Data Readiness

Tip #4 データの準備状況を評価しよう!

・データ監査(データオーディット)を実施する(Conduct a data audit)
・データがクリーンで、構造化され、実用可能であることを確認する(Ensure data is clean, structured, and actionable)
・適切なデータモデルを決定する(Determine proper data model)
・データがどこにマッピングされるかを決定する(Decide where data will be mapped)
・データ変換(Data Transformations)

★現在のデータ状況について徹底的な評価を行う(Do a thorough assessment on the current state of your data)
ゴミを入れれば、ゴミが出る」(Garbage in, garbage out)

現在のデータ状況を徹底的に評価することが非常に重要です。
データはソースでクリーンにする
データの取り込み後に、データのクレンジング、変換、フィルタリングをおこなわないようにしましょう。

Tip #5 Start Small and Scale

Tip #5 小さく始めて、段階的に広げていきましょう!

・MVP(実用最小限の製品)を優先する(Prioritize MVP: Minimum Viable Product)
・何が最大の価値をもたらすか(What will bring the most value)
・何が最も優先度が高いか(What is highest priority)
・まず単一のユースケースに集中する(Focus on a single use case first)
・一つの分野で成功を収め、徐々にスケールし、他のユースケースへと拡大する(Succeed in one area, gradually scale and expand to other use-cases)
 →最初に着手するインパクトの大きいユースケースを一つ選ぶ(Pick one high-impact use case to begin)

★顧客セグメンテーションの改善(improve customer segmentation)
★Eメールのパーソナライゼーション(Email personalization)
★サービス部門のための顧客データへの容易なアクセス(Easier access to customer data for service)

Tip #6 Leverage Native Integrations & Connectors

Tip #6 ネイティブ連携とコネクタを活用しよう!

・その他の組み込み済みコネクタを使用して、より簡単かつ迅速に連携する(Use other pre-built connectors for easier and faster integrations)
・270以上のコネクタ: コネクタが利用可能なシステム(AWS、Snowflake、CRMなど)からデータをネイティブに取り込む(Bring data natively from systems where there is an available connector(AWS, Snowflake, CRM etc))
・コネクタがないシステムからのデータを取り込むには、MuleSoftコネクタを使用する(Use the MuleSoft connector to bring in data from systems where there isn't a connector)
・構造化データと非構造化データを評価する(Assess Structured vs Unstructured)
・バッチ、ストリーミング、リアルタイム、ニアリアルタイム、ゼロコピーの違いを理解する(Understand Batch vs Streaming vs Real-Time vs Near Real-Time vs Zero Copy)
  ⇒データレイクにアクセスするにはゼロコピーを使用する(Use Zero Copy to access your Data Lakes)

データの取り込みすぎに注意!
ユースケースを推進するために必要なデータ(行とフィールド)のみを取り込むようにしましょう。

Tip #7 Establish Data Governance Policies

Tip #7 データガバナンスポリシーを確立しよう!

・データ管理の役割と責任を定義する(Define roles and responsibilities for data management)
 ⇒データスチュワードやData Cloud管理者(Data steward, Data Cloud Admin)
・データ品質、プライバシー、およびコンプライアンスに関するルールを実装する(Implement rules for data quality, privacy and compliance)
・データに問題が発生した場合の計画を立てる(Have a plan for when issues with data arise)
・強固なデータガバナンスフレームワークは、一貫性とセキュリティを確保する(A robust data governance framework will ensure consistency and security)
・すべてのデータソース間でデータの一貫性を徹底する(Enforce Consistent data across all data sources)
・開発とテストにはサンドボックスを使用する(Use sandboxes for dev & testing)

★国際的な規制(例:GDPR、CCPA)(Global regulations ( eg GDRP, CCPA))
★HIPAA(HIPAA)
★セキュリティ(Security)
★リスクの軽減(Mitigate Risk)
★エラーのロールバック(データが誤った個人に統合された場合など)(Rollback of errors(data is unfied to the wrong individual))

データガバナンスポリシーを使いましょう!
データ目的ポリシー、アクセス制御ポリシー、マスキングポリシー等

Tip #8 Understand Credit Usage

Tip #8 クレジット利用を理解する

・消費タイプと、それぞれが何を使用するかを把握する(Know the Consumption Types and what each one uses)
・主要な消費は、処理された行数(Number of Rows Processed)に基づいている(Primary consumption is based on Number of Rows Processed)
・返された行数と同じではない(NOT the same as number of rows returned)
・各プロセスには異なる乗数がある(Each Process has a different multiplier)
 ⇒例:取り込み vs 変換 vs セグメンテーション vs クエリ(e.g Ingestion vs Transformation vs Segmentation vs Query)
・コストがどの程度になるか見積もる(Estimate what your costs could be)
・Data Cloud サイジング計算ツールを使用する(Use the Data Cloud Sizing Calculator)
・クレジットを追跡する(Track your Credits)

★消費されたクレジット量と利用可能なクレジット総量を比較する(Amount of credits consumed vs the total credits available)
★クレジット利用率を監視する(Monitor credit utilization)
★コストを最適化する(Optimize costs)
★リソースの効率的な使用を確保する(Ensure efficient usage of resources)

そのデータがすぐに必要なのか、それともバッチ処理で進めてクレジット消費を抑えることができるのか、事前にしっかり考えておく必要があります。

Usage Types

Digital Wallet

Tip #9 Monitor Data Quality Continuously

Tip #9 データ品質を継続的に監視する

・データの正確性のための監視ツールを導入する(Implement monitoring tools for data accuracy)
・データソースの一貫性を定期的にチェックする(Regularly check data sources for consistency)
・問題を早期に特定し、解決する(Identify and resolve problems early)
・特定された問題を迅速に行動して修正する(Act quickly and fix any identified problems)

★高品質なデータの維持は継続的な取り組みである(Maintaining high-quality data is an ongoing effort)
★定期的なチェックを設定する(Set up regular checks)
★自動化ツールを使用する(Use automated tools)
★アラートを設定する(Set up alerts)
★先を見越して行動する(Be proactive)

継続的に監視していくことが大切です!

Tip #10 Measure and Optimize

Tip #10 測定と最適化

・ビジネス目標に結びついたKPIを追跡する(Track KPIs tied to the business objectives)
・結果に基づいてプラットフォームを継続的に最適化する(Continuously optimize the platform based on results)
・望ましい結果と定期的に照らし合わせて測定する(Regularly measure against desired outcomes)

★顧客エンゲージメントの向上(Increased customer engagement)
★コンバージョン率(Conversion rates)
★運用効率(Operational efficiencies)

ユースケースや KPI を選ぶ際には、成果を何と比較して測定するのかを知るための基準を持つ必要があります。
そしてもう一つ、「何もしなかった場合の潜在的な影響」も評価すべきです。

結論

Salesforce Data 360 の実装を成功させるために必要なこと
★ 慎重な計画とビジネス目標の設定
★ 主要なステークホルダーとの連携
★ プラットフォームの機能とクレジット利用の理解
★ 開始方法に関する明確な計画
★ データ品質と自動化への注力

結論

さいごに

いかがでしたでしょうか。
Data360(Data Cloud)とはどんなものなのか、導入するために何が必要なのかが主題のセッションでしたが、
それらはData Cloudだけではなく、その他システムの導入にも関連するものである気がします。
あらためて、その機能が本当にマッチしているのかの理解から全体最適を前提としたステークホルダーの巻き込み、そして最後の測定までどれも重要なポイントだと再確認できました。

■余談
Trader Joe'sというスーパーに買い物をしていると、私たちの日本語に気づいたおじいさんにDreamforceに来たのかい?と声をかけられました。
「日本語は分からないけど、日本の歌は知っているんだ。」と君が代と上を向いて歩こうを歌ってくれました。
怖い場所も多いサンフランシスコでしたが、そういった人との関わり合いで心がほっこりした出来事でした。