SalesforceのAgentforce サービスアシスタント設定方法

SalesforceのAgentforce サービスアシスタントについてまとめました。

初めに

カスタマーサポートにおいて、問い合わせを迅速に処理するスピードと顧客満足度の向上は常に最重要課題ですが、近年ではこれらを達成するために自律型AIなどの技術が注目されており、これまで人間が行っていたカスタマーサポートも徐々にAIが行う機会が増えてきました。

しかし、すべての業務をAIに任せることには、不安や限界があるのも事実です。人間ならではの共感や、複雑な状況を判断する力は、依然として不可欠です。

そこで注目されているのが、AIとカスタマーサポート担当者がシームレスに協力する新しいサポートの形です。
本記事では、Salesforceが提供する革新的なソリューション、「Agentforce サービスアシスタント」について紹介します。これは、AIが持つ「スピード」と、人間が持つ「質の高い判断力」を融合させ、サポート業務を劇的に進化させる仕組みです。

AIと人がどのように協力し、顧客体験と効率を両立させるのか、その具体的な仕組みを見ていきましょう。

サービスアシスタントとは

サービスアシスタントとは、Salesforceを使用しているカスタマーサポート担当者がケースを解決するまでの流れをステップバイステップで支援してくれる機能です。
この機能の重要な点はAIが独自でケースを解決する、近年流行りの自立型AIエージェントではなく、あくまでカスタマーサポート担当者がケースを解決するための支援をするということです。
サービスアシスタントは、カスタマーサポート担当者にケースの要約やケースを解決するための次のステップを提示してくれます。
では、サービスアシスタントはどのような仕組みで動いているのでしょうか?

サービスアシスタントの仕組み

1.ケースの要約

まず、サービスアシスタントは作成されたケースの詳細を分析し、その要約を作成します。これにより、対応しようとしているケースの全体像と内容を把握します。

2.Agentforceトピックを使用した範囲の割り当て

次に、分析したケースの内容をAgentforceのトピックと照合し、そのケースを解決するために必要な手順を整理し、Agentforceに指示されたトピックの内容やアクションの内容を元にケース解決のための具体的な計画を作成します。

※「トピック」とはSalesforceのAgentforceにおいてAIエージェントが担当する特定の業務領域を定義するもののことです。

3.サービスアシスタントによるデータのグラウンディング

トピックやアクションの内容を元に該当のケースの中で対応する業域の整理ができたら、次に、データをグラウンディングします。
ここではケースのデータやナレッジ記事、Agentforceのトピックやアクションに指定された内容がグラウンディングされます。
データをグラウンディングすることで各企業独自で定められたケースの解決方法を抽出し、より正確で関連性の高いケース解決プランを作成することが可能になります。
このグラウンディングが正確に行われるようにするためには、トピックやアクションに企業ならではのケースの解決方法や情報を指示する必要があります。

4.ケース解決のためのプランを作成する

ケースの要約、範囲の切り分け、データのグラウンディングを行った後は実際にケースを解決するまでのプランをカスタマーサポート担当者に提示します。

設定方法

それではここからは実際にサービスアシスタントをどのように設定するのかを見ていきましょう。

Agentforce機能の有効化

「設定」の「クイック検索」で「サービスアシスタント」と検索し、「Einstein設定に移動」をクリックします。

「Einsteinを有効」をオンに設定します。

サービスアシスタントの設置画面に戻り、「エージェントスタジオに移動」をクリックします。
Agentforceを設定する画面に移動するので、「Agentforce」、「Agentforce (デフォルト) エージェントを有効化」をオンに設定します。

続いて、画面中央に表示されている「Agentforce (デフォルト) エージェントを有効化」をオンにします。

サービスアシスタントエージェントの作成

画面右上の「+ 新しいエージェント」をクリックします。

「Agentforce Service Assistant」を選択、「次へ」を押下します。

エージェントの「名前」、「API参照名」、「説明」、「ロール」、「会社」に関する情報を入れます。
必要であれば、「拡張イベントログを使用して会話の記録を保持し、エージェントの動作を確認してください」をオンに設定し、「作成」ボタンを押下します。

トピックの作成

Agentforce Builder の [トピック] サイドバーで、[新規]をクリックし、[+ 新しいトピック]、「ビルダーで開く」を選択します。

必要であれば、ケース解決のためにAIエージェントにどのような処理をさせるかを記入します。(ここは任意なので記入しなくても問題ありません)

トピックの設定画面で、トピックの「名前」、「API参照名」、「分類の説明、「範囲」を設定します。

※「分類の説明」にはこのトピックでエージェントがどういったことを行うのかをここで、そのトピックに対して、エージェントが何を実行するか、そして何を実行しないかを定義します。

「指示」セクションではエージェントへ指示を提示することで、ケース解決の際にエージェントにどのような処理をさせるかを提示します。

指示を記載できたら、「次へ」、「完了」を押下し、有効化します。

ケースのサービス AI グラウンディングを設定

「サービスAIグラウンディングに移動」を押下し、「サービス AI グラウンディング」を有効化、
「グラウンディング用のオブジェクトと項目を選択」で「ケース」を選択します。

必須項目の欄でグランディングに使用する項目を選択、ケースのグラウンディングを「稼働中」に変更します。

フローでサービスアシスタントが適用される基準を設定する

ケースが作成、編集された際にサービスアシスタントがドラフトを作成するかの基準はフローで設定します。

※[サービスプラン対象資格を確認] フローというテンプレート用のフローが組織に設定されているので、そちらのフローをカスタマイズして、各ユーザーの使用用途に合わせてサービスアシスタントを使用できるようにできます。

下部画像の場合、ケースの「優先度」が「High」である、かつ「発生源」が「電話」の場合にサービスアシスタントが適用されます。

「ケースのサービスプラン対象資格基準を定義」で先ほど編集したフローを指定します。

「サービスアシスタントを有効化」をオンにします。

Lightningページでサービスクラウドコンポーネントを配置

以上の設定でサービスアシスタントを使用する準備ができました。

これでサービスアシスタントの設定が完了しました。

最後に

本記事ではSalesforceのサービスアシスタントについてご紹介しました。
今後、カスタマーサポートにおいてAIの導入が著しく進んでいくと思いますが、
まだまだ、AIの力だけでは不十分なところがあると思います。
そういった問題を解決し、人間とAIが共同でカスタマーサポートを行うことができるのがサービスアシスタントです。
ぜひ、機会があれば導入を検討してみてください!

参考